超スパルタのSMEAG
また、リゾート地として知られるフィリピンのセブは、今や300校もの語学学校がひしめく「アジアの英語研修の聖地」となりつつある。前出の室井さんは、「費用対効果、時間対効果を考えると、セブでの英語研修がベスト。1週間の研修費用なら、飛行機代も含めて20万円を切る。欧米で同じカリキュラムをこなすと、3倍くらいのコストがかかるでしょう」と、人気の理由を説明する。
数ある語学学校の中でも、10年前に設立された草分けがSMEAGだ。もともと韓国資本のSMEだったが、4年前に日本のアチーブゴール(AG)との合弁となり、改名した。今は日本人の英語研修に力を入れている。
そもそもセブ進出で先行したのは韓国勢。97年の通貨危機をきっかけとして、韓国政府の後押しで、英語圏であるフィリピンに、韓国系語学学校の設立が相次いだ。05年頃から留学費用の安さに目をつけた旅行代理店が、日本人を送るようになる。「でも、食事やアメニティの面で、日本人のニーズに合いませんでした。そこで、日系語学学校もセブに進出し、サービスを日本人向けにアレンジするようになったのです」(室井さん)。
SMEAGの特徴の1つがスパルタ教育。TOEICコースは、朝6時40分から夜8時35分まで、みっちりレッスンがある。しかも、約500名の講師を揃えており、マンツーマンのレッスンが主体。それが月曜日から土曜日まで続く。
また、施設内に寮があって、勉強に専念できる環境が整っている。「まるで合宿所で缶詰めになっているような状態で、英語に集中するしかなくなるわけです」(室井さん)。
エイチ・アイ・エスの語学研修事業では、「利用者の約17%をセブの研修が占めています」(室井さん)。法人の利用がメーンだが、個人も利用しているという。ある私立大学では、職員約300名をSMEAGに2週間派遣した結果、TOEICスコアが平均108点もアップ。そうした実績も人気の背景のようだ。
1日コースもあるQQイングリッシュ
セブで現在、最大規模を誇る語学学校が日系の「QQイングリッシュ」だ。オンラインレッスンを含めた講師の数は約900名。教室はオンライン用が600ブース、留学用が200ブース、グループレッスン用が20ブースある。17年は約5000名の留学生を受け入れる見込みだ。
創設者はバイク便の「キュウ急便」の創業者でもある藤岡頼光さんで、05年にセブへの短期留学の経験がある。
「知り合ったイタリアのバイクメーカーのオーナーと、直接話がしたくて、英会話の勉強を始めました。留学先は韓国系の学校で食事などが馴染めませんでした。しかし、コストパフォーマンスは抜群によく、日本人のライフスタイルに合う語学学校をセブにつくろうと考えたのです」
QQイングリッシュの特徴は、オンラインとオフラインのレッスンを併用する“オムニチャネル式”のメソッドだ。