成功の近道は「やり切る」こと

【田原】競合はどこですか。先ほど日本の大手は本気でやってないと言った。ならばWAmazingの独壇場ですか? たとえば香港人が訪日するときは、どこで宿泊予約するのでしょう。

【加藤】いま圧倒的に強いのは、グローバルなOTA(オンライントラベルエージェント)です。アゴダ、ブッキングドットコム、エクスペディア、中国限定ですがシートリップ。旅行したい人は、これらの会社で宿泊の手配をしています。

【田原】それらの会社から顧客を奪うにはどうすればいいですか。無料SIMだけで戦えますか?

【加藤】訪日特化の強みを活かしたいです。訪日外国人がシェラトンやマリオットに泊まるならOTAが楽でしょう。しかし、浴衣で街歩きがついているプランで温泉に泊まって、夕食はカニですかエビですか、最寄り駅からの二次交通はどうしますかという予約になると、OTAは対応できない。ビジネス的には手間がかかりますが、きめ細かさで勝負していきます。

【田原】きめ細かくやるとなるとシステムじゃできないから、人手が要りますね。いま会社は何人ですか。

【加藤】正社員が30人弱で、半分は開発スタッフです。たしかにおっしゃるようにきめ細かなコンテンツを提供するとなると、マーチャンダイズのスタッフはもっと必要になります。資金調達しながら増やしていきたいです。

【田原】いま資金調達はいくら?

【加藤】株式による資金調達は累計8億円で、銀行借入が1.4億円くらい。さらにいま第2ラウンドの資金調達を進めているところです。

【田原】すでに宿泊施設とのパイプや人員を持っている日本の大手旅行代理店と組んだらどうですか。

【加藤】悩ましいところです。日本人向けなら、ゴルフ場も「○○インターから車で1分」でいい。でも外国人はマイカーじゃないので交通手段も含めて商品をつくらなくてはいけません。そこまで事業者さんと細かく話をするなら、自社でしたほうがいいかなと。

【田原】今後の展開も教えてください。

【加藤】サービスの領域を広げていくことになるでしょう。宿泊やレジャー施設だけではなく、レストランを予約できたり、タクシーを呼べたりするとユーザーは便利でしょう。

【田原】訪日外国人をワンストップで面倒見る?

【加藤】そうですね。最終的には訪日外国人のプラットフォームサービスとしてナンバーワンになりたいです。ただ、まだ規模が小さく、全方位でやるとリソースが分散して中途半端になりかねません。まずは集中と選択が必要。山をどこから登ろうかと日々悩んでいます。