川遊びに子どもを連れていくと、目の色や表情が変わる
外遊びのもうひとつのいいところは、人生に差がつく「没頭力」「集中力」が磨かれる点です。子どもに「期末テストの前くらいは集中して勉強しなさい」といくらいっても、集中できない子はたくさんいます。一方、集中できる子は、それまで何かに没頭した経験があるからスイッチを切り替えられるのです。
子どもが集中できるのは、やはり“遊び”の中です。周囲の声も音も聞こえないくらいのめり込んでいる状況が一番いい。川遊びに子どもを連れていくと、目の色や表情が変わります。親御さんは「うちの子がこんなにいい顔をするなんて」と驚きの声を上げるほどです。
外遊びは、基本的にお金がかかりません。近所の公園だって十分です。ダンゴムシが丸まる様子を観察したり、飛んでいる虫を追いかけたり。子どもを夢中にさせる要素はいくらでもあります。交通費や時間をかける余裕があるなら、川へ出かけることをお勧めします。川は遊びの素材が無限にあります。水の中にチャプチャプと足を踏み入れるだけでも面白い。ツルツルすべるところを歩けばスリル満点。鉄砲水や増水などに気をつければ、おだやかな天候の日は家族そろって楽しめます。
外遊びとは対照的ですが、博物館や記念館へ足を運ぶのもお勧めです。著名な科学者の中には「修学旅行で見学した施設で刺激を受けたことが科学者を目指すきっかけになった」という方もいるそうです。
私も小学校の修学旅行で初めてプラネタリウムを見たときの衝撃が忘れられません。田舎に住んでいましたから、夜空に浮かぶ満天の星など珍しくありませんでした。しかしプラネタリウムという洗練された場所で大きな刺激を受けたわけです。北極星の探し方もそこで習ったことを鮮明に覚えています。
医学部に行かせたいから「人体」展に子どもを連れていく
公的な博物館の常設展なら「高校生以下は無料」というケースも少なくありません。国立科学博物館や東京国立博物館などは、一日中、ヘトヘトになるまで楽しめます。ありとあらゆる切り口で展示されているので、何かしら子どもに引っかかるものが見つかることは大きな魅力です。親はぐったりしても、子どもは「また行きたい!」となるでしょう。マニアの人がこぢんまりとやっている博物館も見逃せません。その博物館をつくった人や、陳列している人の想いがあれば、子どもの心を動かすなにかに出合えるでしょう。
博物館などで見かける親子を見ていると、ちょっと心配になるケースがあります。それは、「勉強のために連れてきました」という雰囲気を醸し出す家族。親子げんかが始まり、子どもは「帰りたい」といい始める。もちろん将来、医学部に行かせたいからと考え、「人体」展に子どもを連れていくことは間違いではありません。大切なのはそこから先です。
「子どもの役に立つから」ではなく、親自身が「面白いから行こう」となるかどうかがポイントなのです。「人間の観察力ってすごいね!」などと、一緒に感激して、喜べるかどうかが、その後に子どもが伸びるかどうかの分かれ目。親の喜びが、子どもの可能性を広げるのです。