さて、メカニズムはわかりましたが、どうすればストレスをコントロールできるのでしょうか。最初のキーワードは「メタ認知」です。
僕たち人間は、今日着ている服や髪形がどうなっているのか、鏡を見て確認することができますよね。しかし、自分がいまどういう感情を抱き、どのようなことを考えているのかなどの、内面に関することは鏡に映し出すことができません。そのような状況を、あたかも第三者の視点から眺めるように、把握できる能力を「メタ認知」と呼びます。
「暇すぎる=ストレス」の人もいる
「メタ認知」は前頭前野の働きですが、これが結構難しい。僕もこれができるようになるまでだいぶかかりました。子どもの頃からアインシュタインに憧れ、彼のような立派な学者になりたいと願ってきた僕は、当時の「ありのままの自分」や「何者でもない自分」を認めることができなかったのです。
人間関係に不器用な自分も許せなかった。つまり、「こうあるべき」という理想や義務感が強すぎる間は、自分自身を冷静に見つめる「メタ認知」ができないということです。例えば、本当はほかにやりたいことがあるのに、「せっかく大企業に就職できたのだから」と自分にいい聞かせている人もいるかもしれません。
人によってストレスを感じる環境は多様で、一概に「忙しい=ストレス」とは限らず、なかには「暇すぎる=ストレス」の人もいるのです。自分がどのような状況下でストレスを感じ、反対にどのような環境では一番くつろげるのか、「メタ認知」を働かせることができるようになると、自分でも気づかなかった意外な一面が見えてくるかもしれませんよ。
▼なぜ自分自身を「幽体離脱して上から見る」と、冷静になれるのか?
【気づいている領域】
●怒っている自分
【気づいていない領域】
●自分の表情、しぐさなど
●他人の表情、しぐさなど
【「メタ認知」をすれば冷静になれるメカニズム】
興奮しているな、イラついているな、目が吊り上がって、目の前にいる人に声を荒らげているな
→恥ずかしいな、みっともないな
→冷静になれる!
【気づいている領域】
●怒っている自分
【気づいていない領域】
●自分の表情、しぐさなど
●他人の表情、しぐさなど
【「メタ認知」をすれば冷静になれるメカニズム】
興奮しているな、イラついているな、目が吊り上がって、目の前にいる人に声を荒らげているな
→恥ずかしいな、みっともないな
→冷静になれる!