歴史を単純化することの危うさ

日本は朝鮮王族や朝鮮人が高度な教育を受け、世界の情勢を理解できるようになり、日本人の同胞として育っていってくれることを期待しました。ヨーロッパ列強は帝国主義を振りかざし、他国を踏み潰し植民地化しましたが、日本と朝鮮との関係は植民地というより、むしろ連邦国家の関係に近かったと言えます。我々が考える以上に、戦前の日本人は朝鮮人を尊重していたのです。

そうでなければ、朝鮮王族が日本皇族と対等に、縁戚関係など結べるはずがありません。朝鮮王族をないがしろにしたのは、むしろ李承晩政権です。李承晩だけでなく、韓国の国民も自分たちの国の王族を忘れ、受け入れようとはしませんでした。

文在寅大統領は「慰安婦」問題に執着しているようですが、近代史における日本と朝鮮との関係は、「日本が一方的に朝鮮を奴隷化した」といった単純なものではありません。そのことを知るためにも、文大統領は訪日した際に、李垠殿下夫妻が暮らした旧李王家邸を訪れるべきなのです。

宇山卓栄(うやま・たくえい)
著作家
1975年、大阪生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。おもな著書に、『世界一おもしろい世界史の授業』(KADOKAWA)、『経済を読み解くための宗教史』(KADOKAWA)、『世界史は99%、経済でつくられる』(育鵬社)、『「民族」で読み解く世界史』(日本実業出版社)などがある。
(写真=PIXTA)
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