韓国の文在寅大統領が10月前半に首脳会談のため来日するとの報道があった。もし実現すれば、今年5月に続く2度目の来日となる。著述家の宇山卓栄氏は、文大統領が来日した際にはぜひ訪れてほしい場所があるという。日本で教育を受けて陸軍中将まで上り詰め、日本の皇族の女性と結婚もした朝鮮王朝のラストエンペラー、李垠殿下の旧邸だ。その理由とは――。
東京都心に今も残る旧李王家邸(現・東京ガーデンテラス紀尾井町・赤坂プリンスクラシックハウス)(写真=PIXTA)

訪日する文在寅大統領に訪れてほしい場所

10月前半、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪日する方向で調整が進んでいます。1998年10月に採択された「日韓パートナーシップ共同宣言」採択から20周年を迎えるにあたり、両国の関係構築を進めることを目的に、日本で首脳会談が行われる予定です。

98年の「共同宣言」は、当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が、未来志向に基づく両国の関係構築を定めたものです。その20周年の節目に話し合う相手として文大統領がふさわしいかどうかは、正直いささか疑問です。慰安婦問題の「最終かつ不可逆的な解決」を示した2015年の日韓合意について、「政府間の公の約束であっても、大統領として、この合意で慰安婦問題が解決できないことを改めて明確にする」と表明するなど、外交上の約束を平気で破るような態度を示してきた文大統領と、はたして「未来志向」の話し合いが成立するのでしょうか。

それでも文大統領が訪日するというなら、両国の関係を健全に振り返ってみる上で、ぜひ訪れて欲しい場所があります。その場所とは、かつての李王家邸、現在の「東京ガーデンテラス紀尾井町・赤坂プリンスクラシックハウス」です。

この場所は2011年に閉館した「赤坂プリンスホテル」の旧館としても知られ、1930年に朝鮮王家の李垠(り・ぎん)殿下と方子(まさこ)妃の邸宅として建てられたものです。