親が住宅ローン返済が困難な場合の対処法

本来であれば、50歳代の一定水準以上の収入がある間に繰り上げ返済を実行し、それ以後の生活に影響が出ないよう、返済期間を短縮あるいは返済額を圧縮しておくべきだった。

それをせず、60歳定年前にこのような住宅ローンを抱える人はどうすれば良いのだろうか?

もし、親が住宅ローン返済を継続するのが難しくなり、同居している収入のある子がそれを引き継ぐ意思がある場合、「住宅ローンを名義変更して子が住宅ローンを引き継ぐ」、「親が住宅ローン返済を継続し、不足する生活費を子が負担する」「親子間で売却をする」などの方法も考えられる。

しかし、A子さんのように子にそうした意向がない場合、とにかく、親自身が、住宅ローン以外の支出にムダがないか家計の見直しを実行する。そして、できるだけ長く働いて安定した収入を得るようにしてキャッシュフローが回るようにするしかない。

住宅ローンを見直して毎月の返済額を減らす方法もあるが、その分、返済期間は延びてしまう。それでも改善しなければ、自宅を任意売却するという方法になるだろう。早めに売却すれば、住宅ローンが完済でき、物件次第では多少の現金が入手できるというメリットがある。その一方で、住む家がなくなるため、次の住まいを探さなければならない。

「リバースモーゲージ型住宅ローン」で返済額を減らす

そこで、愛着のある自宅を手放したくないのであれば、住宅金融支援機構の「住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローン(以下、「リ・バース60」という)を利用する方法がある。

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして金融機関から融資を受け、借りたお金は死亡時または契約満期時に自宅を売却するなどで返済する“逆”住宅ローンのこと。最近、メガバンクなども扱いを始めており、利用者が急増しているという。

主に、満60歳以上の方向けの住宅ローンで、毎月の支払いは利息のみ。元金は本人が亡くなった時に自宅(担保物件)の売却などによって一括返済するしくみだ。

「リ・バース60」の資金使途は、住宅の建て替えやマンション・戸建て住宅への購入(住み替え)、リフォーム、住宅ローンの借り換え、セカンドハウスの建築・購入など。このほか、サービス月高齢者向け住宅の入居一時金や子世帯等のマイホームの取得資金など、さまざまな住宅資金ニーズに対応できる。

要は、新しい住宅ローンが組めなくなった年金生活者でも、自宅を担保に融資を受けられる。例えば、60歳定年後に毎月の収入が減ったため、住宅ローン負担を軽減したい場合、リ・バース60を利用して住宅ローンを借り換えすることも可能だ。

同機構によると、リ・バース60の借入申込者平均は、年齢72歳、年収330万円。資金使途の4割は新築マンションの購入、3割が新築戸建ての建設で、融資額1691万円、毎月返済3.5万円(2017年度に付保申請のあった案件)だという。

また、リ・バース60には、リコース型とノンリコース型があり、後者の場合、債務者の死亡時に物件処分による返済を行った後は相続人に対する残債務の請求はない。利用者の6割はこちらを選択している。

また、住宅融資保険がついているため、金融機関ではリバースモーゲージ特有の利用者の長生きリスクや担保地価下落リスクを回避することもできる。

自宅を子どもなどに残す必要がなく、手持ちの預貯金を減らさずに、郊外の広い戸建てから利便性の高い駅近のマンションなどに住み替えたいなどのニーズはあるだろう。