住宅ローンを退職金で完済すると「1億円」に届かず

ローン完済とiDeCo活用で共働き夫婦の老後準備はほぼ完成

では、老後資金として1億円を獲得した正社員の共働き世帯に「落とし穴」はないのでしょうか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/hiorgos)

考えられる「落とし穴」は、住宅ローンの返済です。契約時に設定したローン計画の返済終了年齢が定年後の70歳や75歳になっていることがあります。マイホーム購入時期が遅かった場合や、契約時の返済能力が低く月々の返済額が低く抑えられた場合は、定年後も返済をする計画になるのです。

この場合、定年時に残した残債を退職金で相殺させることになります。つまり、退職金が大幅に目減りする、ということです。これを防ぐには、返済計画を可能な限り前倒しして早期に完済すること。そうすれば退職金が100%老後の資産になります。

もちろん、いくら1億円が入るとはいえ、生きていれば何が起こるかわかりません。そこで、現役時代から老後資金を貯める習慣をつけるのはとても大切です。その際、役立つのが自分年金といえるiDeCo(個人型確定拠出年金)です。

老後のために毎月決まった掛け金を投資信託などの金融商品に投じ、60歳以降にその積立額や運用益を受け取る仕組みですが、最大の特徴は月々の掛け金がすべて所得から控除され、自動的に所得税や住民税も軽減できることです。見方を変えれば、軽減された所得税や住民税が老後の貯金に振り替わったということもできます。国が運営するこのお得な仕組みを使わない手はありません。ひとり1口座しか開設できないiDeCoですが、共働きの夫婦がそれぞれ口座を持てば2倍のペースで老後資産形成がはかどります。

40歳から20年間 iDeCoを積み立てたとしましょう。

月の最大掛け金は、職業により異なりますが、「企業年金のある会社員、もしくは公務員」の場合、1万2000円。20年間で288万円(夫婦2口座なら576万円)を老後に繰り越したことになりますし、実効税率20%と仮定すれば、ひとり当たり57.6万円、夫婦で約115万円相当の節税をして、その分を自分の老後財産として増強したことになります。

さらに、掛け金によって購入した金融商品が一定程度の運用収益を獲得すれば、その分、資産に育つので、さらに老後の安心度は高まるでしょう。年3%の運用益を確保すると夫婦それぞれ394万円、合計で788万円の老後資金を獲得することになります。これなら老後の不安はほとんど解消されるでしょう。

正社員として、仕事と家事・育児の両立を目指すのは大変なことですが、夫婦で力を合わせて頑張るだけの価値はあります。すべての苦労は「老後に笑う」ためなのです。

拙著『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)では、共働きの稼ぎ方、家計管理、資産運用術から年金リタイア方法までを解説しました。本稿とあわせてぜひお役立てください。

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