次の経営陣の育成プログラム

必要なスキルという点では、DeNAのコア・コンピタンス(企業の核となる技術など)はインターネットやAIなどに関するソフトウエアテクノロジーですから、ソフトウエアのエンジニアは第一に必要です。

ただし技術は最終的な目的のためのツールであり、企業としてはそれを使って何を達成していくかが重要になります。ですからテクノロジーを理解しつつ、それを実際のサービスやビジネスに応用していく能力を持った人材を求めています。

一口にエンジニアといっても、研究開発のスペシャリストもいれば、「どういうサービスを提供するか」が常に頭にあるサービスリード型の人もいます。数十人規模のチームを指揮するマネジメント力を持つエンジニアも必要ですし、「この技術を使ってどうやってお金を儲けるか」を考え、技術をビジネスに結びつけられる人材も欠かせません。

これら4タイプのいずれであっても、「目の前の技術をどうやって活かしていくか」という視点はなくさずにいてほしいですね。

――将来に向けて経営層の育成も始めているとか。

はい。人は自ら育つものであり、育てるものではないと思っていますので、「育成」というとおこがましいのですが、次のような施策を始めています。

DeNAは2019年に創業20周年を迎えますが、現在の社員数は連結で2400人にまで増えました。次の世代へのバトンタッチも考えなくてはならない時期でしょう。そこで、取締役や執行役員をめざす20代、30代の若手十数人を集め、「ネクストボード」として勉強会を開いています。これは彼らに「もし自分たちが経営者だったらどうするか」という視点で考えてもらうための試みです。

ただ若い人たちには、会社に育ててもらうのではなく、仕事を通じて自分の力で成長するという気概を持ってほしいと思います。上司から割り当てられた仕事をこなすだけでなく、自分から「こういう仕事をしたい」「こういう能力を身につけたい」というWillを抱いて行動するようになってほしい。私自身の経験からも、今の自分の能力に比べて少し難しすぎるぐらいの仕事にチャレンジし、結果を出すことが、人を大きく成長させるものです。