卒業すれば全員が慶應義塾大学に進学できる小学校「慶應幼稚舎」。著名人がわが子を通わせる「セレブ小学校」としても知られているが、その実態はどんなものなのか。「親の職業によってKEIOの4クラスに振り分けられる」「4割が中学か高校、大学で留年してしまう」といったうわさの真偽を、ライターのオバタカズユキ氏が卒業生たちに聞いた――。

※本稿は、オバタカズユキ『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)の第2章「受験戦線異状アリ」を再編集したものです。

日本で最も古い私立小学校のひとつ

小学校お受験の世界には、慶應幼稚舎という抜群のブランドがある。

写真=iStock.com/mizoula

東京メトロ日比谷線広尾駅下車、徒歩7~8分の超一等地で緑に囲まれている校舎。敷地は向かいの都立広尾病院よりも広そうだ。かつて福沢諭吉の別邸があった地とのこと。

創立は1874(明治7)年、実は日本で最も古い私立小学校のひとつでもある。古くは何人もの侯爵、伯爵、子爵、男爵から、銀行の頭取や百貨店の社長など、戦後はたくさんの芸術家や芸能人も輩出している。最近、一番有名な出身者はアイドルグループ嵐の櫻井翔か。著名人が我が子を通わせる学校としてもよく話題になる。

慶應の幼稚舎は、1クラス36名(男子24名・女子12名)、各学年4クラスの少人数体制だ。6年間クラス替えがなく、担任も基本的に6年間担任持ち上がり制。私立ならではのかなりユニークな教育を行っている。けれども、そんな話より、やっぱりセレブ小学校のイメージが先行する。

慶大生が語る幼稚舎出身者のセレブネタ

各キャンパスでの取材中も、現役慶大生からよく幼稚舎出身者のセレブネタを聞いた。詳しく話を聞いてみると、こんな内容になる。

「幼稚舎生は格が違う。教科書に載っている人の子孫がいる。ワックステカテカの髪型で、服装もぜんぜん違う。白金、六本木と、いいとこに住んでいるのは当然。車を何台も持ってる。パーティーとかして遊んでる」(商学部1年男子)

「自分は中等部から慶應に入ったのだが、中等部・普通部を幼稚舎生が仕切り、その後も、塾高を仕切り、大学を仕切るという流れがある」(経済学部2年男子)

「慶應のヒエラルキーは学部で決まらない。幼稚舎から入った人→中高で入った人+体育会系+大学から入った逸材(≒イケてる人)→大学から入った普通の人の順番でエライ。六本木のクラブで日常的に遊んでいるようなのは、ガッツリ幼稚舎か、大学から入ってきた逸材たち。テニスサークルなんかは普通にチャラいだけで、本当に遊んでいる人はサークルに入らず、幼稚舎出身みたいに内輪のグループを作ってる」(理工学部4年男子)

とにかく幼稚舎出身者は別格だし、慶應を仕切っているし、エライとのことだ。いわゆる「慶應ボーイ」のイメージに近い人物像が浮かぶ。