3.上司を巻き込む

第3のコツは、自社の上位職者を巻き込むことです。特に相手企業が大手である場合、現場の一営業パーソンが、相手の役員クラスとのアポ取りを直接交渉するのは、現実的ではないと感じる人も少なくないでしょう。そこで、上司である部長クラス、取締役クラスの名を利用して申し込みを行うのです。場合によっては、部長自身がアポ取り電話をするよう社内の体制を組みます。このように自社の上司も巻き込んでアプローチすれば、経営トップと会える確率は、より高まります。

もちろん、その上司には実際の会合の場にも同席してもらい、会話をリードしてもらうことも必要になってきます。前述のように、単なる挨拶程度の訪問の価値は著しく低下していますが、上位職者との会談なら価値があると捉える傾向は、訪問を受ける側にはまだ根強くあります。結果的には、双方にとって組織対組織の関係構築につな繋がることにもなります。

このように自社の上位職者を巻き込む場合に肝心なのは、その上司に、インサイトセールスの何たるかを、すなわち理念やビジョンを傾聴することの意味を十二分に伝えておくことです。経営トップに会えたはいいが、自社の中心人物がピント外れの会話を展開しては、苦労も水の泡だからです。

4.タイミングを外さない

第4のコツは、タイミングを見計らうことです。タイミングにも二種類あって、一つはお客様が時間を作れそうな時期を狙うことです。これがアポ取りの基本であることは言うまでもありません。もう一つは、経営トップが参加するイベント等の中にアプローチのチャンスを見つけることです。

前者は、例えば人事系部門に人事システム関連の提案営業をしたいなら、3月、4月の繁忙期は避けるなどの常識的配慮です。4月は新入社員研修などで、大げさに言えば担当部門は軟禁状態に近い忙しさでしょうし、3月はその準備期間。そんな時期に会いたいと申し込んだら、提案云々の前に、「分かってない営業パーソン」として相手にされなくなってしまうでしょう。

ところが、3月31日を狙い撃ちしたら、案外OKということもありえます。その時点で4月1日以降の準備がまだ終わっていなかったなら、それはそれで一大事のはず。前日は、もう全ての準備が整って明日を待つだけというエアポケットのような状態である可能性もあるわけです。

いずれにしろお客様の動向に関する情報を十分に把握することが大切です。会社や社長自身の活動パターンの把握や業界の年間スケジュールに対する配慮の重要性は。これは、現場の一部門に対するアポイントの場合であろうと、経営トップへのアプローチであろうと変わりありません。