幕末から明治にかけて、日本には莫大な財を成した4人のイノベーターがいた。彼らはどこが違っていたのか。雑誌「プレジデント」(2018年2月12日号)の特集「仕事に役立つ日本史入門」より掲載記事を全4回で紹介しよう。第2回は「岩崎弥太郎の事業の起こし方」について――。

参勤交代を見て、徳川の終焉を確信

三菱財閥の創設者、岩崎弥太郎は土佐藩の地下浪人(じげろうにん)という身分の非常に低い武士でした。

上級武士から屈辱的な差別を受け、農民からも蔑まれるほど貧しかった弥太郎は、明治維新の数年前に知人から岩崎という苗字を買いました。苗字すらも持っていなかったのです。