数々の修羅場をくぐり抜けてきた名経営者たち。自らの生き様を語った言葉から、これからの人生の指針を打ち立てるヒントを得る。

一人の楽しみは、必ず広く他に及ぶ

「日本の資本主義の父」といわれる渋沢栄一。日本初の銀行など約500の会社と約600の教育福祉事業の設立にかかわった。しかし、一人ですべてをつくったわけではない。そこには多くの企業家や資本家の協力があった。つまり、多くの人を惹きつける魅力を備えた、いい意味での「人たらし」だったのだ。そのことは主著『論語と算盤』をはじめ、残された数多くの言葉からも読み取れる。

「栄一は強運の男だった。そのいい運はいい人とのご縁から生じる。栄一はどのような立場であろうと、人との出会いとご縁を大切にしたのではないか」