では、仮想通貨は資産形成に本当に役立つのだろうか。

「僕は絶対手を出しません。理屈が通らないからです。仮想通貨は明確な理由がなく、ブームにのって利を得ようとした人が急増したことで値が上がったにすぎません。アイドルグループの総選挙と一緒です。人気が出たら値段が上がる。人気が下がったら価値が下がる」

しかし、株などと違い少額から買えるから損してもいいくらいを買っておけ。仕組みなんかわからなくても買えばわかるようになるという誘い文句もよく耳にしたのではないだろうか。真壁さんは言う。

「仮想通貨は資産の一部ですが、金融資産と位置付けられていないので、金融商品取引法の枠に入っていません。株や債券を証券会社などの金融機関がセールスするときに、これ上がりますと売ることは法律で厳しく禁じられています。ところが、仮想通貨は金融商品取引法上の金融資産に入っていないから、買えば上がりますよというのがまかり通っています。

競馬は、儲けようと思ってやっている人はあまりいませんよね。スリルとサスペンスを味わうのが面白いから馬券を買うのです。仮想通貨もそういう心構えで購入するならかまいませんけれどね」

NEMの不正流出で約580億円が消え、26万人が被害を受けた。ビットコインという仮想通貨の代表格を買うのはまだわかるにしろ、なぜマイナーなNEMに手を出したのか。

「例えるなら、仮想通貨という木があって、その最初の幹がビットコイン。そこから新しい仮想通貨が枝分かれしたわけです。ビットコインは人気となり価格は上昇したけれど、一時期のような上昇率は見込めない。ところが誰も知らない新しい仮想通貨は価値が安い。でも、やがて知られるに従って価格は上がる可能性が高いと思って手を出すわけです」

このように、すでに仮想通貨で儲けた人が、より値上がりが期待できる商品としてNEMを購入したと真壁さんは見ている。

▼主な仮想通貨とその特徴(コイン名:略号:時価総額)

(1)ビットコイン:BTC:19兆9071億円
サトシ・ナカモトを名乗る人物によって投稿された論文に基づいて開発された仮想通貨界の王様。発行総量が2041年に2100万BTCで発行終了となる。


(2)イーサリアム:ETH:9兆0350億円
仮想通貨業界シェア第2位。ビットコインとイーサリアムだけで60%以上の業界シェアを占める。スマートコントラクトという契約を記録できる機能が付いている。


(3)リップル:XRP:3兆8069億円
送金を最重要視した通貨。送金速度が速く、ビットコインで10分程度かかっていた決済を数秒で行うことができる。グーグルやSBIなどが出資したことでも注目を集める。


(4)ビットコインキャッシュ:BCH:2兆3075億円
2017年8月、ビットコインから分離して誕生した通貨。ブロックチェーンのサイズが大型化し、大量の取引を処理できるようになった。


(5)ライトコイン:LTC:1兆2263億円
2011年に誕生。情報の書き換えが速いため、スピーディーな取引ができる。発行上限枚数はビットコイン2100万枚に対し8400万枚と4倍。


(6)NEO(ネオ):NEO:8680億円
2016年、中国発祥。ブロックチェーンに契約内容を書き込むことのできる「スマートコントラクト」を備えていることから「中国のイーサリアム」と呼ばれている。


(7)カルダノ:ADA:7993億円
「仮想通貨の第一人者」と言われているチャールズ・ホスキンソン氏によって手掛けられた仮想通貨。2017年10月に上場されるや、40倍に跳ね上がった。


(8)ステラ:XML:6391億円
2014年発行、リップルを基に開発された。リップルが金融機関などの法人利用をターゲットにしているのに対し、ステラは個人利用に重点を置いている。


出所:coinmarketcap(時価総額は18年3月2日現在)