「日本人の個人投資家がこぞって仮想通貨に手を出し始めたのは、17年の4月ぐらいからです」

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ビットコインは08年に「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が公開した論文に興味を持った人たちが分担してコードを書いたのが始まり。それから13年くらいまでは取引のほとんどはアメリカ人だった。やがて中国人が大挙して使うようになり、16年には9割近くを中国人が占めるようになる。その頃の日本はというと、マウントゴックス事件の影響もあり、仮想通貨のイメージはよくなく、取引する人はあまりいなかった。

「なぜ中国人がビットコインに手を出したかというと、中国人は自国の人民元を信用していません。しかも、人民元は外貨規制が厳しいので、お金持ちは人民元を外貨にしたくても、為替管理が厳しくて動かせない。でも、仮想通貨にしておけば24時間365日、いつでも自由にドルを買うことができるから人気が集まったわけです。

新興国も自国の通貨を信用しない人が多いですし、銀行やATMがそんなにないから、預金をおろそうと思っても一日かかることもある。それならスマホさえあれば自由に使える仮想通貨のほうが便利です。つまり、これらの国々には道具としての通貨としての必要性があったわけです。

しかし、日本は円という通貨が非常に安定しているうえ、いたるところにATMがあります。仮想通貨の必要性はそれほどないのです」

中国政府が人民元をビットコインに替えることに対し規制を始めたことで、中国人の割合は大きく減少。そこに参入したのが日本人だ。

これには法改正も大きく関与している。17年4月1日に施行された仮想通貨に関する制度「改正資金決済法」がそれだ。これにより、仮想通貨交換所は金融庁の登録を受けることが必要となり、認められた会社のみ仮想通貨を取り扱うことが許されるようになった。9月末までには11社の仮想通貨交換所の登録が完了。国が認めたという安心感から、仮想通貨を購入した人が増えたのは間違いないだろう。

「要するに認知度が一気に上がったわけです。知らなかったものをみんなが気づけば、注目され、人気は上がります。当然、値は高騰します」

投資によって1億円を超える資産を築いた人々を指す「億り人(おくりびと)」という言葉。株では1桁のリターンなのに、仮想通貨に投資すれば1000%を超すハイリターン。17年は仮想通貨で「億り人」となった人が続出したという。時代に置いてきぼりを食らうのは嫌だ。誰でも儲かるらしい。みんな儲けているのなら、自分もやらないのは損だと心ははやる。