「ふりかけ」のように、簡単に味と食感を加えられるものを
エスビー食品で「ぶっかけ! おかずラー油」の開発を直接手がけた商品企画ユニットの三島和治氏は、「普段の食卓を華やかにするために調味料を加えて、いつもの料理に味の彩りを添えると、そこに楽しみが見いだされます」と指摘する。
実際、食べるラー油の料理への応用度は非常に高い。もちろんおかずとしてご飯にかけるという方法がオーソドックスだが、それだけではなく、チャーハンに入れたり、サラダや冷奴にかけたり、納豆にまぜたり、パスタやカレーに隠し味として入れたり、好みに応じてさまざまな使い分けができる。従来の餃子のための調味料からは想像もできないような用途の拡大を実現している。
また内食化の進展によって、多くの人々が求めるようになる簡便性も食べるラー油の売り上げアップに貢献する理由となっている。内食化する消費者は、上記の三島氏が言う通り、お決まりの家庭料理に変化をつけたくなる。しかし当然のことながら、毎日の食事に面倒な手間はかけたくない。そこで、「ソース」か「ふりかけ」のようにほとんど自分の手を煩わせることなく、味と食感を容易に添加できるものを求めたのだ。
だが、食べるラー油は、単なるソースやふりかけとは異なる。これは以前には存在しなかったまったく新奇な商品であったため、そのテーストやフレーバー、そして食感が消費者には目新しく、新鮮な感動をもたらしたのであった。
既存市場を10倍にまで膨らました仕掛けとはどのようなものであったのか、明確にしてみたい。
先発企業とされる桃屋は、この商品アイデアの着眼点に関して、「今までにない、単に辛いだけでなく、素材のおいしさを引き立てる、応用力のある商品を考えた」としている。確かに桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」は応用性の高い商品で、その幅広い用途の新開拓と提案は抜群のものであった。