同様に「63×87=?」を解いてみよう。左の□は、「60×80=4800」。真ん中の□は、「6×7+3×8=66」。右の□は、「3×7=21」。したがって、「4800+66×10+21=4800+660+21=5481」となる。

もう一題、「94×73?」に挑戦。左の□は、「90×70=6300」。真ん中の□は、「9×3+4×7=55」。右の□は、「4×3=12」。したがって、「6300+55×10+12=6300+550+12=6862」となる。

2本曲線法がなぜ成り立つのか証明しよう。

ある2ケタの自然数の十の位をA、一の位をBとすると、その自然数は「10A+B」と表せる。もう一方の2ケタの自然数の十の位をC、一の位をDとすると、その自然数は「10C+D」と表せる。これをかけると、「(10A+B)×(10C+D)=100AC+10AD+10BC+BD=100AC+10(AD+BC)+BD」となる。

一方、2本曲線法は、前述の説明から「100AC+(AD+BC)×10+BD」と表せる。変形すると「100AC+10(AD+BC)+BD」となる。2つの式は同じなので、2本曲線法が成り立つ。

2本曲線法は、最初のうちは紙に書いて計算しても構わない。少しずつ慣れてきたら頭のなかで暗算する。数をこなすことで、すばやく正確に暗算できるようになる。2本曲線法を身につけると、すべての2ケタ×2ケタの暗算ができる。つまり、1ケタどうしのかけ算(九九)や2ケタ×1ケタなどを含めると、1万通り近い暗算ができることになる。

小杉拓也
志進ゼミナール塾長
東京大学経済学部卒業後、IT関連会社を経て、個別指導塾の講師へ。その後、埼玉県で学習塾を開業。著書に『脳を鍛える! 計算力トレーニング』など。
(構成=田之上 信)
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