フリマアプリの草分けは2012年7月に登場した「フリル」。後に楽天が買収し、今年2月には楽天の自社サービス「ラクマ」と統合している。2012年12月にはフリマサイトを展開していた「ショッピーズ」もアプリを展開。メルカリがサービスを開始したのは、フリルから丸1年後の2013年7月だった。
その後も、大手によるフリマアプリ参入が相次ぐ。2013年12月にLINEが「LINEMALL」を、2015年12月に「ZOZOTOWN」を展開するスタートトゥデイが「ZOZOフリマ」を投入(後に両社ともにサービスを終了)。2016年6月にはヤフーが、フリマアプリのように定額で出品できる「ワンプライス出品」機能をヤフオク!のスマホアプリに追加。2017年2月からは、この機能を「フリマモード」と改称したうえで、パソコン向けも含めて全面展開している。
そうした競合がひしめく中、なぜメルカリだけが突出したのか。上場を前に加熱する報道合戦の中で、メディアはメルカリ躍進の理由を、「フリマアプリで急成長」「スマホに徹した」などと説明してきたが、それではメルカリだけが突き抜けた理由にはならない。
狂気とも言える「こだわり」
メルカリはよそと何が違ったのか。まだ上場承認の確定報が流れる前の今年4月、その解を求めようと山田に直撃すると、彼はさらりとこう言ってのけた。
「UX(使い勝手などのユーザー体験)がちょっとよかった。あとは広告をタイミングよく打てたからかな」
そうかもしれないが、それだけでここまでの差が生まれるはずもない。記者は執拗に食い下がった。
そこから延々数時間、記憶を辿りながら話す山田の言説に耳を傾けると、創業まもない頃から随所で狂気とも言える「こだわり」を見せてきたことに気がつく。整理すると、大きく3つのキーワードが浮かんできた。
最初のキーワードは「タイミングへのこだわり」だ。