これから世界で伸びる“勝ち組企業”には、何が必要なのか。ビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一氏は、「従来の秩序を壊して、勝つためのビジネスモデルを組み立てることが重要だ」といい、その一例としてフリマアプリ「メルカリ」を挙げる。なぜメルカリには先行する「ヤフオク」を脅かすほどの勢いがあるのか――。

※本稿は、大前研一『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全』(KADOKAWA)のCaseStudy10「メルカリ 『スタートアップ企業』のさらなる成長戦略」を再編集したものです。
※2017年3月にBBT大学で行われた講義実施時点の公開情報をベースとした見解、予測等であり、現時点もしくは今後について保証するものではありません。また、当時の状況に基づいて考察できるよう、本稿では、データはあえて更新せずに掲載しています。

国内では一強状態、他社は相手にならない状況

メルカリは、国内最大のフリーマーケット(フリマ)アプリの提供で知られるITベンチャーです。創業は2013年2月の若い企業ですが、マネタイズ(収益事業化)が難しいとされるネットビジネスにおいて、4期目にして黒字化を達成しました。業者を排除した個人間ECを目指しているのが特徴で、競合に目を向けると、国内では一強状態で他社はほとんど相手になりません。

アプリとしてのメルカリは、国内で4000万ダウンロード、米国で2000万ダウンロードを達成しており、米国での強さも特徴の1つです。

同社の企業評価額は1000億円を超え、“ユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場企業)”の仲間入りを果たしています。ちなみに日本のユニコーン企業にはほかにLINE(ライン)とDMM.comがありましたが、LINEは2016年7月15日に上場しました。

メルカリは個人間(CtoC)ECのマーケットプレイスを提供

EC市場は「BtoB(企業間)」「BtoC(企業と個人)」「CtoC(個人間)」の3つに大別されますが、メルカリが扱っている領域はCtoCで、ネット上の自由参加市場、いわゆるマーケットプレイスを展開しています。これはさらにオークション形式とフリーマーケット形式の2つに分けられます。前者の代表はヤフオク!やモバオクなどで、後者の代表がこのメルカリです。