資産を手に入れる方法(自力か他力か)で幸福は変わるのか
では、資産を手に入れる方法(自力か他力か)は幸福に影響を与えるのでしょうか。自分の仕事による収入などで資産を築く=自力派か、親からの相続などで資産を引き継いだ=他力派か。どちらが、幸福度が高いのでしょうか。
前出の富裕層を対象にした調査は、文書内に、鉄鋼王で大富豪だったアンドリュー・カーネギーの「莫大な遺産は子供の才能と熱意をダメにして、そうでない場合よりも有益で価値ある人生を送れなくしてしまう」という言葉を引用しています。つまり、他力の資産では、それを相続した子供はダメになってしまうという意味合いに受け取れます。
実際に、遺産は子供の幸福に影響を与えるかどうか、それを調査した結果が次の表です。
▼自力資産でも他力資産でも幸福度は「ほぼ同じ」
不労資産とは、遺産や相続のことを指します。不労資産「0%」と「100%」の両極端のケースで比較すると、幸福度(7点満点)はそれぞれ「5.88」と「5.66」。遺産や相続による資産が一切ない人のほうが、幸福度が0.22%高いことがわかります。
ところが、不労所得率「17%」の場合は幸福度「5.22」で、不労所得率「67%」の場合は幸福度「6.02」となるなど、必ずしも不労資産がない(自力)ほうが、幸福度が高いとは言い切れません。
資産が多くなればなるほど幸福度は一定程度高まりますが、その資産が自分の努力で形成したものか(自力)、相続とか結婚とかで受け継いだ不労資産か(他力)によって幸福度はどう変化するかといえば、それは「わずかなもの」であるということが結論としてわかりました。