社会を変えるという目的のために事業をしている
「C CHANNEL」が目指すのはディズニーのような「メディアコングロマリット」だという。そんなことが本当に可能なのか。3年前、社員第1号として入社したエンジニアは当時28歳だった。入社のきっかけを「社長の夢がデカいのが気にいったから」という。安定志向の若者がいる一方で、斎藤のように「夢」に惹かれる若者もいるということなのだろうか。
森川:そうだと思います。豊かな社会なので、お金を稼ごうとか、がんばって何かを達成しようという人は少ない。むしろ、こういう生き方をしたいとか、こういう価値観の人とつながりたいという人が多い気がします。
一方で、僕は若い起業家のメンターをしていますが、市場が縮小する日本より海外へと考える若い起業家が増えていることを実感します。この4月に海外ビジネスを行う日本人起業家のネットワーク、WAOJE(World Association Of Japanese Entrepreneurs)東京支部が発足しました。僕は副支部長を引き受けたんですが、その理由のひとつは海外ビジネスである程度結果を出している経営者のネットワークに若い起業家たちが加わることで、実践的な勉強の場をつくれればと考えたからです。
また、「C CHANNEL」に集まってくる若者には希望も感じます。まだ新しい企業ですが、インターンシップ希望者を50人同時に受け入れたこともあります。僕らのような新しいビジネスを一緒にやりたいという若い世代が増えていることと、ユーザー数が伸びるという形で支持されていることは、社会を変えるという目的のために事業をしている僕らにとって、何よりうれしいことです。
「好きなことなら、稼げなくても仕方がない」は冷たい
「C CHANNEL」の社員は現在約100人、平均年齢は26歳だという。「メディアコングロマリット」を目指し、この4月には新しい動画事業である未来のスターを応援するオーディションアプリ「mysta(マイスタ)」を開始した。アイドル、ボーカル、ダンス、お笑いなどといったジャンルのアーティストが自分のパフォーマンスを動画でアップし、ユーザーの投票数に応じて収入を得る仕組みだ。競合する動画サイトとは何が違うのか。森川は「マイノリティといわれる人たちを応援したい」という。
森川:人を感動させたい、あるいは、笑わせたいという人たちの多くは、それで稼ぐことは簡単ではありません。そこで「mysta」が彼らの表現と収入を両立する突破口になればと考えています。
そもそも、パフォーマンスで食べて行くことを夢見るような人たちは、公務員や大企業の会社員などの「安定」がよしとされる今の世の中では、マイノリティです。そういう人たちに対し、世間はおおむね「好きなことやってて幸せなんだから、稼げなくても仕方がないんじゃないの?」と冷たいと思います。
でも人を喜ばせたいという彼らの動機は評価すべきです。彼らみたいにひっそりと頑張っている人が輝ける社会になればいいなあと思います。