おしゃれのひとつとして香水を使う人もいるが、万人ウケを狙うなら、無臭でいることがベター。香りの好き嫌いは、人によるからだ。

「先ほども触れたように、知らないにおいは、非常にネガティブに捉えられてしまいます。もっとも失敗がないのは、『無臭』であること。特に今の日本の社会は、無臭化が進んでいる。無臭が好まれるのは、日本文化の特性。心理学的に考えると、無垢、ニュートラルといったイメージがある『白』が好まれるのと同じです」

最近では汗拭きシートや制汗スプレー、あるいは衣服のにおいを消すものまで、消臭効果のある商品が増えてきている。それらを使うのも有効な手だ。

「食べ物や、体表に存在している菌が原因で体臭が発生することもあります。この2つに気をつければ、ミドル脂臭を抑えることができます」

食べ物については、脂っぽいものを控えること。脂っぽいものを多く食べると、汗にも動物の脂を含む成分が含まれてしまい、体表の菌がその汗を分解してくさい成分に変わってしまうのだ。

対策は必須でも、気にしすぎには注意

体表の菌は、においの原因にはなるが、消しすぎるのもよくない。

「体表には意味があって菌がいます。夏の暑いときに汗拭きシートでパッと汗を拭くなど、部分的、あるいは瞬間的に殺菌するのはいいですが、やみくもに殺菌し続けてしまうというのはやめたほうがいいでしょう」

ビジネスの成功を左右する「におい」。ただし、においの気にしすぎには要注意だ

「自己臭恐怖症という精神的な病気があります。『みんなに避けられているのは、自分がくさいからだ』と考え、においを取らないと、と思い込んでしまう。本当は表情が硬いなど、におい以外のことが原因で人から避けられているのに、それをにおいのせいにしてしまうというように、実際にはくさくない場合もあります。身だしなみやマナーだと思って、親切のつもりで人のにおいを指摘する際も、伝え方には慎重になるべきです。言い方によっては、自己臭恐怖症のような反応を引き起こしてしまう危険性もあることを、心にとどめておいてください」

ビジネス誌「プレジデント」最新号(2018年7月16日号)の特集「山中教授の自分を変える」では、ビッグ対談「柳井正×山中伸弥 世の中の変化のスピードについていくための処方箋」を筆頭に、「脳科学で問題解決! なりたい自分になる法」「苦手克服! 人生を変える9日間プログラム」「厚切りジェイソンの『英語脳の作り方』」など、「なりたい自分に変わる」をテーマにした記事を詰め込みました。ぜひお手にとってご覧ください。

坂井信之(さかい・のぶゆき)
東北大学大学院文学研究科心理学研究室教授
東北大学電気通信研究所・脳科学センター所属。大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科修了・博士(人間科学)。味覚や嗅覚などに関する脳科学および心理学に関連する120本を超える研究論文を発表。