50歳までの28年間で1億円をどう貯めるのか?

アーリーリタイアの実現には、いくつかの大きな難点があります。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Bet_Noire)

その筆頭は、「引退後の期間があまりにも長期化する」というところです。65歳から年金支給開始のところを50歳でリタイアするということは、15年分の無収入期間を補う資産が必要になります。そこから人生100年時代の長いセカンドライフがスタートするということは、それまで生きてきた年数分と同じ期間を働かないで暮らしていくことになります。

仮に90歳まで備えると考えた場合でも、リタイアする50歳から標準的な引退年齢(65歳)までの15年間、また、そこから90歳までの年金生活25年間を送るための経済的備えが必要になります。「合計40年」の備えが安心できるレベルに達していないと、アーリー(早期)リタイアには踏み出せないでしょう。

また、50歳リタイアには「引退後の生活資金を蓄える準備期間はその分、短く(タイトに)なる」という問題もあります。22歳から働き始めたとすると、65歳リタイアの場合、43年間の準備期間があります。しかし、50歳リタイアとなれば準備期間は28年しかありません。早く引退するということは資産形成の期間が短くなる、ということですから自ずと短期化することになるわけです。

これらを踏まえれば、「より早い時期」から資産形成を開始し、「高い貯蓄率」で積み立てを行い、かつ「高い運用利回り」で資産を増やす必要があります。

▼必要予算は1億円、月10万円年8%の収益が必要に

アーリーリタイアのお金の収支を概算してみましょう。

まず50歳から65歳までの支出総額はどの程度でしょうか。妻、子2人の4人世帯を想定した場合、年500万円(月40万円強)でやりくりすると15年間で計7500万円が必要になります。これを65歳以降の老後資金とは別に確保しなければなりません。

65歳から90歳までの支出総額を仮に2500万円とすると(加齢とともに支出額が大幅に減ることを想定)、50歳の時点で少なくとも「1億円確保」というかなり高いハードルが設定されることになります。50歳で引退した場合、支給される厚生年金額も普通の会社員より減少するので、65歳以降の準備資金にその分も上乗せする必要があり、実際は1億円超が必要となります。

50歳までに1億円を用立てするには、どうすればいいのでしょうか。

50歳で1億円に到達するためには、25歳から25年間、毎月10.5万円を積み立て、なおかつ年8%の利回りで増やす必要があります。これは非常に厳しい条件です。20代のうちから毎月10万円以上を貯金にまわし、しかも年8%の利回りを維持しなければならないからです。