会社の行動指針「ヒーローのヒーローであれ」

ということで、自ら4月に創刊したのが「ヒーロー新聞」。毎月7000部を発行し、ヒーローショーの現場などで無料配布している。すでに3号を数える紙面は幼児向け雑誌顔負けの迫力だ。

悪の秘密結社が発行する「ヒーロー新聞」

<フクオカリバーのひみつ大図解を紹介するぞ!>

※「吹王火剣(ふくおかけん)フクオカリバー」は福岡を中心に活躍中

<佐賀のニューヒーロー! ヤマシロンのひみつ大公開!>

※佐賀市の山代ガス営業部のヒーロー

見出しからも分かるとおり、「エリア(地域)ヒーロー」の情報に特化した、唯一無二の媒体だ。笹井さんは「媒体としてはまだまだ完成度が低い」としながらも、「造形レベルが高い福岡のヒーローを体系的に紹介して、ファンを増やしたい」ともくろむ。

スポンサー枠があるヤバイ仮面のスーツ

ヤバイ仮面のコスチュームには、スポンサー枠がある。同様の取り組みをしたアニメ番組から、知恵を拝借した。業界の新機軸を次々に打ち出す笹井さんの当面の目標は、東証マザーズへの上場。「上場セレモニーでは、当社の怪人が鐘を取り囲んで、ただ鳴らすのではなく、がんがん殴りつけたい」と夢を見る。

会社が掲げる行動指針の最初の項目は<ヒーローのヒーローであれ>。その指針の象徴とも言えるのが、25体の「構成員」(もちろん全部悪者)のネーミングだ。

共通しているのは、その安直さ。「ヤバイ仮面」を代表に、海賊マン、エビマン、ケーキマン、傘マン…、どいつもこいつも見たまんまの名前だ。「ネーミングを凝っていいのはヒーローだけ。目立ってはいけない怪人は、いつも『30秒ルール』で名付けている」と笹井さんは笑う。

そう、悪役の名前なんて雑でいい。でもその心にはいつも、ヒーローより強く輝く太陽がある。行け、ヤバイ仮面! 戦え、ヤバイ仮面! 明日もどこかで、やられるために――。

福間慎一(ふくま・しんいち)
福岡市生まれ、2001年入社。文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。16年9月からヤフーに出向、17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。
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