カリスマ投資家の痛烈なひと言

この四つのニーズに定期的に貢献している状態でありたい。このうちの一つでも軽視すれば、あなたは崩壊戦略を採用して進むことになる。

人生を一つの尺度で測るやり方はうまくいかない。どれかを長期間ないがしろにすれば、あなたは人生の重要な要素にシークエンシングをしていることになる。このことを、私が好きなウォーレン・バフェットの言葉が、端的に表してくれている。

「本当はあまり好きじゃないが、まずこれを10年やって、それからあれをしようと思っている……」と言う人びとがいる。これではまるで、年寄りになるまで性生活はお預けというようなものだ。あまり感心できないね。

なるほど、ごもっとも。だがここで、ワーク・ライフ・バランスの核心に踏み込まなくてはならない。つまり、どこで限界を設定するかという問題だ。もう「目標の達成」は充分やったから、そろそろ「他者の役に立つこと」や 「伝えること」にもっと力を注ごう、とあなたはどこで判断すればいい?

まず手始めに有効なのは、何をもって「これで充分と言えるか?」と自分に問いかけることだ。

制約の価値を見直す

じつは必須のものだけに絞る考え方は、あまり万人に受けない。だからこそ、ワーク・ライフ・バランスが問題になるのだ。選択肢も競争も無限にくり広げられる現代において、「四要素だけ」というのはあまり受けないのだ。ところが、プロクター&ギャンブル社は、かつて26種類ものシャンプーを販売していたが、あるとき「これで充分」と判断し、いくぶん手ごろな価格の15製品だけを残し、ほかはすべて販売終了にした。その結果どうなったか? 売り上げは下がったが、収益は逆に10%上がったのだ。

TEDの講演で有名になった心理学者のバリー・シュワルツが言うには、私たちはしばしば気づかないが、これらの制約はじつは歓迎すべきものだということだ。制約があれば決定が簡単になる。人生もシンプルになる。「あなたのせいではない」と言ってもらえる。そのほうが私たちは幸せだ。

エリック・バーカー(Eric Barker)
大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree”の執筆者。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』は、初の書き下ろしにして全米ベストセラーに。
(写真=iStock.com)
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