最新研究が明かした「幸福の測定基準」

多くの人はお金に焦点を合わせるのが手っ取り早いと感じ、とにかく額を増やそうとする。簡単で便利だが大きな間違いだ。著者たちが取材したとんでもない成功を遂げた人びとは、たとえば人間関係など、人生の別の側面を犠牲にした(崩壊させた)と痛感していることがわかった。一つの測定基準しかないと、必然的にフラストレーションを抱えることになる。

写真=iStock.com/YangYin

研究者たちは、人生には多様な尺度が必要なことに気がついた。たとえば、家族と良い関係を築くには、ともに時間を過ごす必要がある。つまり一緒に過ごす時間数は、家族との絆を測る一つの尺度になる。だが、もし罵りあってその時間を過ごしていたら意味がない。そこで、ともに過ごす時間の量と質の双方を測らなければならない。

ローラ・ナッシュとハワード・スティーブンソンの調査結果から、幸福の測定基準として、次の四つが必須要素であることが明らかになった。

1.幸福感 人生から喜びと満足感を得ていること
2.達成感 何らかの業績でほかに抜きんでていること
3.存在意義 身近な人びとに、ポジティブな影響を及ぼしていること
4.育成 自分の価値観や業績によって、誰かの未来の成功を助けていること

これらを「ビッグ・フォー」(幸福の四要素)と呼ぶ。

ナッシュとスティーブンソンはまた、これらビッグ・フォーにつながる行動も提示した。

1.幸福感=楽しむ
2.達成感=目標を達成する
3.存在意義=他者の役に立つ
4.育成=伝える

成功したと感じるためには、それぞれの測定基準でどのぐらい必要だろうか? この四つをどんなバランスで達成したら、あなたの人生に必要なものが得られるかを、今すぐ決めるのは難しい。そこまで一足飛びに行かなくても大丈夫。10歳のあなたが満たされる状況が、20歳のあなた、ましてや80歳のあなたに当てはまるわけではない。状況は変わっていくが、それで良いのだ。具体的な内容は変化する。しかしあなたの根本的な価値観はそれほど変わらないはずだ。