清掃→検査→評価のサイクルを回すことが大切

(2)清潔さ
マクドナルドには、清掃についてもしっかりとしたマニュアルがあります。しかし、実際に大学周辺の店舗を見に行ってみると、清掃が十分に行き届いているとは言えない状況でした。その後、同じ店舗に、事前に調査に行くと伝えてから行ってみると、見事に清掃されていました。普段は忙しいために清掃が片手間になっていても、検査されることがわかれば、きれいにできるということです。このことから、清潔さに関しては清掃→検査→評価のサイクルを回すことが大切だとわかります。

マクドナルドには、KODOという独自のアプリを使って顧客にアンケートを取る仕組みがあります。内容は幅広く、中には清掃に関する項目もあります。その結果を、店長が月に1度評価し、従業員にフィードバックします。しかし、月に1度のフィードバックでは、頻度が少なすぎます。清掃は、定期的に行えばよいものではなく、汚れたらすぐに行うことが重要です。

そこで私のゼミでは、「Clean foryou」という清潔に特化した機能をKODOへ追加することを提案しました。この機能では、顧客がアプリを立ち上げて店内をチェックし、汚い場所を見つけたら、その場所をタッチします。すると、店舗に即時にフィードバックされ、顧客はクーポンなどを得られる仕組みです。この仕組みなら、常に顧客から検査され、迅速なフィードバックが得られるため、汚れたところをすぐに清掃することができます。

接客における「コンタクト・ストレス」

(3)接客
私たちの調査では、来店頻度の高い顧客ほど、接客に対する不満が高いことがわかりました。一方、マクドナルドの従業員に対する教育訓練の水準は非常に高く、ここでも提供品質と知覚品質の間にギャップがありました。

知覚品質を低下させる要因として挙げられるのが、接客における「コンタクト・ストレス」です。具体的には、従業員が接客において感じる次のような感情が挙げられます。

1 顧客の外見から生起される偏見などの「嫌悪感」
2 思慮に欠け、問題行動をとる顧客に対する「不快感」
3 レジに長い行列ができ、顧客もイライラするような場面などでのプレッシャーによる「イライラ感」

従業員が抱くこれらの感情が、顧客に感知されるために、接客への不満が高まるのです。