学校の教科書は「時代」が変わると仕切り直しになってしまう。しかし現実の歴史は1本のタイムラインで今日までつながっている。江戸時代以降の400年を人口、経済、気温、身長の4つのデータから読み解く。第4回は「身長」について――。
※本稿は「プレジデント」(2018年2月12日号)の特集「仕事に役立つ『日本史』入門」の掲載記事を再編集したものです。
江戸時代が日本人の「身長のどん底」だった
これは縄文時代から現代までの日本人の平均身長を記したグラフです。
「昔の日本人は小さかった」「戦後、日本人は急激に身長が伸びた」というのはよく知られていることですが、江戸時代の人たちは鎌倉・室町時代の人たちよりも背が低かったというのは、意外に思われる方が多いのではないでしょうか。
縄文時代から古墳時代にかけての伸びは、中国大陸や朝鮮半島から日本に渡ってきた「渡来人」が加わった影響かもしれないのですが、いずれにせよ江戸時代が日本人の「身長のどん底」であったわけです。
理由は、栄養不良でしょう。江戸時代の人たちは、基本的に肉を食べませんでした。そこから考えられるのは、動物性タンパク質の不足です。
ヒトの身長の伸びは出生直後から生後2年くらいまでが最もインパクトが大きく(10代の急伸は「思春期のスパート」と呼ばれるいわば“最後のひと伸び”です)、また個人の伸びしろは胎児として母親のお腹のなかにいるときの栄養状態が影響するらしいことがわかっています。