2018年度も企業業績は増収増益が続く

当社は調査対象とする主要企業224社(金融を除く)について、2017年度の売上高は前年度比+8.1%、経常利益は同+20.1%の着地を予想している。さらに、2018年度は売上高が同+3.1%、経常利益が同+8.8%と、伸び率こそやや鈍化するものの、前年度に続き増収増益を見込んでいる。製造業(134社)と非製造業(90社)に区分した場合でも、そろって増収増益が続く見通しだ(図表4)。

2018年度の業績予想について、前提となる為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=135円である。仮に、為替レートを円高方向に5円修正すると、経常利益の伸び率は前年度比で3%ポイント低下する。したがって、新年度入り後、1ドル=105円、1ユーロ=130円の推移が続くと仮定した場合、経常利益見通しは計算上、前年度比+5.8%の伸びに鈍化することになるが、減益に転じることはない。

4月下旬以降、3月期決算企業の2017年度本決算と2018年度の業績見通しが順次発表される。注目は2018年度の業績見通しだが、年初からの円高進行を受けて、総じて控えめなものが出てくる可能性がある。業績見通しへの失望が広がれば、株安を招く恐れもあるため、いわゆる「ガイダンスリスク」には一応の警戒は必要だ。

ただし、当社の景気動向と企業業績の見通しに基づけば、日経平均株価は新年度入り後、年度末に向かって緩やかに持ち直すと思われ、2019年3月末の水準は2万3300円程度を予想している(予想は2018年4月18日時点)。

市川雅浩(いちかわ・まさひろ)
三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト
東京銀行(現・三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。著書に『為替相場の分析手法』(東洋経済新報社)など。CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。マーケットレポート(http://www.smam-jp.com/market/report/
(写真=iStock.com)
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