日経平均は貿易摩擦問題を消化し2万3000円台へ

米中貿易戦争に発展すれば、世界貿易縮小のリスクが高まる(膨大案物資が行き交う上海ヨウジョウ深層水港)

このように整理すると、米中貿易摩擦が「貿易戦争」に発展するのではないかとの見方は、行き過ぎのように思われる。この先、米中協議が進展した場合、トランプ米政権は秋の中間選挙を意識し、夏までに「互いの経済が損害を受けない程度の関税引き上げ」、あるいは「特定の分野や製品に絞り込んだ市場の開放」で、何らかの成果をあげるよう急ぐ公算が大きいとみられる。

一方、「知的財産権を保護する枠組み作りに向けた合意」については、ハイテク分野における中国との覇権争いにも関わるため、合意にいくぶん時間を要すると考えられる。以上を踏まえると、米中貿易摩擦問題は、現実的な落としどころを見極める段階に移行し、過度な懸念はすでに後退したとみてよかろう。

米中貿易摩擦問題が、波乱なく市場に消化されていけば、次は景気動向や企業業績に市場の関心が移ると考えている。足元の世界景気の拡大ペースは、2017年後半と比較すると、やや鈍化したように見受けられるが、米国の財政刺激効果などにより、景気の拡大基調は継続すると思われる。そのため、景気敏感な日本株にとっては、好ましい状況が期待できる。