外国人ビジネスマン同士の「会話」の中でしばしば耳にするスラング。彼らはどのような状況・意味合いで使っているのだろうか?

「正しいFUCKの使い方」という本がヒットする理由

はじめにお断りしておきたい。ここに掲載されているフレーズに関しては、迂闊に発してはいけない。特に外国人に言ったら、とんでもないことになる。欧米ではテレビ、ラジオなどメディアの放送禁止用語だからだ。

写真=iStock.com/LittleBee80

その言葉とは……「Fuck」「Shit」である。一般的には「くそったれ」「ちくしょう」など、怒り・苛立ち・嫌悪・失望・困惑といった負の感情を表すことが多い。似た意味を持つ「Damn」「Hell」などならまだ発言しても大きな問題にはなりにくいが、前出の2語はメディア以外でも基本的には使ってはいけない下品でタブーな言葉の筆頭格といえるだろう。

ただ、「取り扱い注意」という大前提はあるにしろ、こうした俗語が、以前から流通していた現地の貧困層やブルーワーカーなど低収入層だけではなく、次第にホワイトカラー層などにもかなり浸透してきているようだ。

日本にオフィスのある外資系企業のネーティブの社員たちの間でも食事や休憩など非公式な場でやりとりされている。それだけに、同じ職場で働く日本人としては、その意味を理解できるようにしておく必要があるのも事実だ。

そうしたニーズを読み取ったのか、2014年に『正しいFUCKの使い方』(トランスワールドジャパン)が出版された。「学校では教えてくれない」99のフレーズを掲載しており、この手の書籍としては大ヒットの3万部を売り上げている。

25年以上もニューヨークなどアメリカに在住するアーティストMADSAKIさんが監修した言葉の数々はどれも“ビビッド”。とはいえ、「役立つ」英語教育本ではないのに、誰が何の目的で購入するのだろうか。

「想定外でしたが欧米人にウケています。日本在住の外国人がユーチューブやSNSで、『こんな面白い本がある』『アメリカではこんなにおおっぴらにFワードを扱っている本はありえない』と紹介してくれます。また、日本在住のネーティブ講師が日本人の生徒に対して、本に載っているフレーズを、“これが生きた英語”とこっそり教えるケースもあるようです」(同社書籍編集部長・喜多布由子さん)

本の中にある会話のシチュエーションは、主に男女間のトラブルなどプライベートなものが多いが、今回、ビジネスシーンで使うこともあるフレーズをピックアップした。