歓迎会の話が持ち上がったのがきっかけ
退社の決断をした大きなきっかけは、玉田さんの歓迎会の話が持ち上がっていることを聞いたからだ。
「歓迎会後は辞めづらくなると思い、できれば3日目のうちに言いたかったけど、勇気がありませんでした」
そして4日目。朝、人事担当者とエレベーターで一緒になり、「ご相談が……」と話しかけ、そのまま面談の流れになった。席につくと感情が高ぶり涙が出てきた。人事担当者からは説得されたが、意思は固くなっていく。
「母子家庭だよね? お母さんが泣くよ? 続ければやりがいも出てくるんじゃないかな。会社を辞めてどうするの?」
「自分でなんとかします。海外でワーキングホリデーに興味があるんです」
「玉田さんみたいな、これといった能力も持っていない人が海外に行っても日本にいるのと変わらないよ」
だが、人事担当者の声は彼女には響かない。1時間ほどの問答が続き、玉田さんの主張がついに認められた。そのまま事務手続きをし、お昼前には玉田さんは会社を去った。
「今後は、公務員試験の勉強をしながらバイトしたり、海外に行ったり、やりたいことをしたいと思います」
2018年の新入社員の多くは小中高を通してゆとり教育を受けた「究極のゆとり世代」と言われる。ライフスタイルが多様化する今、日本の新卒一括採用は限界なのか。それともゆとり世代の忍耐力がないだけなのか。いずれにせよ、企業に変化が求められている。
(撮影=柚木ヒトシ)