これらのデータから言えることが、2つある。
1つは、教育費も住宅ローンも後戻りが利かないということ。たとえ年収が1000万円あっても、その30%を教育費に食われるのは、キツイ。しかし、給与が頭打ちになり、家計が厳しくなったからといって、子供にいま通っている私立をやめろとは言えないのだ。
住宅ローンも同じで、地価が右肩上がりだった時代とは異なり、不動産市況が完全に冷え切っている現状では、購入してしまった住宅を売却してもローンを相殺することは難しい。現在、金利が下がっているから、固定金利を変動金利に借り換え一時的に金利を下げても、ローンが消えてなくなるわけではない。一度組んでしまったローンから逃れる術は存在しないのである。
もう1点は、60代で家計におけるローンの割合が急増することからもわかる通り、家計における“固定費”である教育費と住宅ローンは、収入が下がるほどその存在感を増すということだ。
支出を小島にたとえると、収入は海面である。海面が下がると、小島は徐々に海上に顔を出してくる。そうなれば、食費や娯楽費という突き出た頂は比較的簡単に削り取ることができる。
しかし、教育費と住宅ローンは削れない。海面が下がれば下がるほど、その姿は大きく海上に現れてくる。絶対額は変わらないのに支払いがキツク感じられるようになる。いわば、教育費メタボ、住宅ローンメタボの状態に転落してしまうのだ。苦しいが、逃げられない。
冷たいようだが、原因は分不相応な固定費支出を家計に組み込んでしまった、あなた自身にある。
(構成=山田清機)