自信を失ったことが原因で

システム会社のAさんの例を見ていきましょう。

写真=iStock.com/Kazzpix

Aさんは長年勤めた会社で定年をむかえましたが、再雇用制度を使って継続して働くことを選択しました。再雇用のためそれまでの管理職ではなく、給料も新入社員並みに引き下げられました。

もともと管理職の立場だったことからプライドがあるため、

「一般社員並みに働いてるのにこんな給料じゃやってらんねーよ」
「オレなんか老体にむち打ってやってんのに、若いのはなにしてるんだよ」

といった不平不満を漏らしていました。

ところが、いざ社員からお願いごとをされると急に卑屈な態度を取り始めたのです。

「オレも年なんだし、そんなこと言われてもできないよ」
「若いやつのほうがうまいんじゃないの?」
「オレにこんなことできるかな?」

といった言葉が口グセとなっていきました。

Aさんは長年働いた経験やノウハウがあるので、他の社員は頼ろうとしたのですが、そのような発言をされると仕事を任せることもできなくなります。Aさんは社員の信頼を失っていくのとともに、自分自身のプライドも失っていってしまったのです。

このAさんの例のように、初めから卑屈という人は少ないでしょう。しかし、知力、体力の衰えを感じ、若いころと同じパフォーマンスを上げる自信がなくなり、「もう年だから」と卑屈になっていってしまうのです。