答え:「辛い中華以外」の料理を食べたい

そしてこれをベン図で表したものが図である。

まず、(1)に関して左上の図のグリーン色の部分は「AかつBでない」を表している。そして左下の図のグリーン色の部分は、「Aでないか、またはBでないか」という少なくとも1本の斜線が入っている部分を表しており、確かに両者は一致する。

また、(2)に関して右上の図のグリーン色の部分は「AまたはBではない」を表し、右下の図のグリーン色の部分は「AでないかつBでもない」という2本の斜線が交差している部分を表しており、こちらも確かに両者が一致する。

このド・モルガンの法則を使って先ほどの彼女の真意を探ってみよう。彼女は「辛くないか、中華以外」と言っているので、「辛い中華」と表せる。つまり、ド・モルガンの(1)の法則に当てはまり、次のようになる。辛い中華=(辛い∩中華

ということは「辛いかつ中華でもない」、もっとわかりやすく言うと「辛い中華以外」の料理を食べたいわけだ。だから、タイ料理や韓国料理は辛くてもOKだし、中華でも辛くない餃子や焼きそばならOKというわけなのだ。女性の言っていることに間違いはないのだが、初めからこう表現したほうが男性を悩ませずに済んだはずだ。

ビジネスでも同じこと。あなたが営業部長だとして、「新規開拓が3件に満たないか、または売り上げが10万円に届かない者以外はノルマ達成だ」というより、「新規開拓が3件以上で、かつ売り上げが10万円以上の者がノルマ達成だ」と言ったほうが部下にも伝わりやすい。複数の条件を組み合わせて指示を出すときは、ド・モルガンの法則を使い、わかりやすい表現にしたいものだ。

永野裕之
永野数学塾塾長
1974年、東京都生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科卒。著書に『統計学のための数学教室』『ふたたびの高校数学』『初歩からわかる数学的ロジカルシンキング』など。