私たちの仕事や勉強におけるパフォーマンスは、日々の努力や習慣によって成り立っています。
重要なのは朝起きてから夜寝るまでの時間、いつものことを淡々とこなすための平常心を持つことです。それこそが脳リミットをはずす力になるのです。
つまり、平常心を保って入念に準備してから山に挑めば、絶対に登れないことはない。日々の心がけこそが、知らないうちに人を山頂に到達させるのです。
脳リミットは、このような平常心がなければはずすことができませんし、それでは自分の限界にチャレンジする勇気も持てません。
チャレンジを妨げるものとして、「やる気」という特別な感情があることを、肝に銘じてほしいと思います。
ノーマルな脳は、能力が抑えられている!?
「自分にも、何か生まれ持った特別な才能があれば……」
自らの能力に限界を感じて、誰しも、こんなふうにつぶやいた経験があるかもしれません。
でも生まれつき特別な才能に恵まれていないからといって、悲観する必要はまったくありません。
なぜなら、脳リミットさえはずすことができれば、たとえ能力や自信がない人でも成功にグッと近づくことができるようになるからです。
皆さんは、「サヴァン」という言葉をご存じでしょうか。
サヴァンとは、フランス語で“賢人”という意味を持っていて、自閉症や知的障害のある人のなかで、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する人たちのことをいいます。
例えば、ランダムな年月日の曜日を即答できたり、オーケストラの複雑な曲を一度聴いただけで再現できてしまう。あるいは、瞬時に見たものを記憶し、細部に至るまで詳しく絵を描くことができるといった能力です。
「裸の大将」として有名な山下清も、旅から帰ってきてから記憶を頼りに絵を制作していたとのことで、サヴァンだったのではないかと、いまではいわれています。
このサヴァンについて、イギリス出身の神経学者であるオリヴァー・サックスは、そのような特殊な能力を持った人たちを研究し、あるひとつの結論に達しました。
その結論とは、「サヴァンたちが示すような能力は、ノーマルな人の脳のなかにも潜在的にあるのだが、何らかの理由でその能力が抑えられている」というものでした。