「日米経済の立ち直りは早い」――。前号でそう予測を立てている一方で、欧州の混乱は長引きそうである。BIS(国際決済銀行)から公表されているデータを見ると、欧州系銀行は新興国、とりわけ南米向け融資の残高が大きい。かつてアルゼンチンがデフォルトを起こしたときのように、新興国の今後の状況によっては、近くのアメリカよりむしろ欧州に及ぼす影響のほうが怖い。公的資金注入により、大手銀行が潰れるような心配は当面ないであろう。だが、注入された資金が融資にまでまわらず、欧州の金融機関の収益拡大には結びつかない恐れが強い。

そのことを象徴的に表しているのが、今の為替相場の動きだと考えられる。円が強く、ドルが次いで、一番弱いのがユーロという現状に、そのあたりの状況が如実に出ている。