「この家具なら、大したことない家も立派に見えます」
興味深く見学していると、なんと、会長の勝久氏にバッタリ出会った。おずおずと名刺を差し出しつつ「業績はどうですか」と尋ねたところ「先日も(大手高級不動産との)お話がうまくいきました」という返事が。匠大塚の業績は非開示で本当のところはわからない。しかし「多数の日本人の持つインテリアへのあこがれ」を具現化するようなわかりやすい陳列に、多くの経営者や富裕層から一定の支持を得ていくのが確実なように思われた。
家具やインテリア選びのハードルは、費用面だけにとどまらない。それ以上に、どの店で何を購入するかが問題なのだ。気に入ったものを特定の店で買うケースもあるだろうが、品目ごとに店舗を回るのは意外と重労働だし、スタイルが異なり統一感が出ない恐れも。配送料や割引交渉など費用面も考慮すると、ある程度購入する店は絞ったほうが、何かと都合がいい。
ただ、小物やちょっとした家具は、手頃な価格のIKEAやニトリで揃えるにしても、ダイニングテーブルやソファ、ベッドなど、気軽に買い替えしない(できない)家具は、多少値段が高くても良いものを買いたいという人は多い。ディノス・セシールの「家具とライフスタイルに関する意識と実態調査」によると、家具選びにこだわるという人が約7割。そして4人に3人が「家具は多少高くても良いものを長く使いたい」と回答した。
匠大塚の勝久氏との立ち話の最中、「こんな高級な家具を買うんだったら、住宅もそれ相応じゃないとダメですよね」とも尋ねた。すると「いやあ、この家具なら、大したことない家でも立派に見えます」と笑って答えた。
住宅の物件価格が上昇傾向にある今、家具までこだわるというのも大変なことだろうが、まさか、家具が家まで高級に見せてくれるとは。家具選びもなかなか侮れない、と恐れ入った。