いざというとき、自分の身を守ってくれるものは何か。その筆頭は「法律」だ。「プレジデント」(2017年10月16日号)の「法律特集」では、職場に関する8つのテーマを解説した。第2回は「就業規則違反」について――。(全8回)
会社は一方的に制限する権利はない
会社で働く人のルールとして設けられているのが、就業規則。企業には、就業規則を書面で交付する、もしくはイントラネットにあげるなど、従業員に周知させる義務がある。
普段から就業規則を意識しながら働いている人はいないかもしれないが、減給や出勤停止、昇給停止、降格、さらに解雇の可能性もある「懲戒」に関わるような違反をしないよう、しっかり確認しておきたい。
しかし、どこまでが違反でどこまでが違反ではないか、書かれている文言だけでは判断しにくい項目もある。
よく問題になるのが、副業・兼業に関して。就業規則では「在職中にほかの職に就いてはいけない(二重就業の禁止)」と定めている場合が多いが、例えば実家の商店を土日(休日)に手伝うのはどうか。不動産を持っていて家賃収入がある場合は、就業規則違反に当たるのか。
線引きは会社が個別に判断となるが、基本的に「業務に支障をきたしているかどうか」が判断基準になることが多い。先述の家賃収入の例だと、例えば会社で仕事中に不動産関係の人からガンガン電話がかかってきてやり取りをしていたり、あからさまにインターネットで物件のことを調べていたりしたら、もちろんアウト。しかし、勤務時間外の行動に関しては、会社は一方的に制限する権利はない。休日に同様なことを行うのは基本的に問題ない。もちろん、実家の商店を手伝っても違反にはならないはずだ。
会社が終わった後、夜にキャバクラで働いた場合はどうなるか。自由時間だから問題ないという考え方もあるが、対外的な信用を失う可能性もあるという理由でNGとする会社が多いだろう。