遅まきながら決意した。「大阪のスポーツ現場から体罰をなくす!」

冒頭でうちの剣道道場の話をしたよね。桜宮高校でも当初は、「それくらいの暴力的指導は当然のことだ」という認識だった。教員や生徒だけではなく、保護者もそう考えていた。スポーツに力を入れている学校で、クラブで全国大会を目指し、そこで好成績を得てスポーツに強い大学に進学するという流れができていた。クラブは勝利至上主義のようになっていた。

その桜宮高校で保護者の意識調査をやったんだ。そしたら驚いたことに、仲間の生徒の一人が自殺しているにもかかわらず「早く試合のための練習を再開させて欲しい」「このままだと試合に負けてしまう」という保護者の声もあった。この学校は何かがおかしくなっていると感じたね。

僕は教育委員会幹部と自殺した生徒の両親のところに出向き、直接謝罪し、色々とお話を伺った。どういう理由であれ、学校の指導が一因となって生徒が自殺するということは絶対にあってはならないことだ。生徒が教室秩序を破壊的に乱し、学校側にやむに已まれぬ事情があったがゆえの暴力的指導ということであれば学校側に言い訳の余地も多少あるのかもしれないが、今回は生徒が教室秩序を乱したわけではない。ただ単にクラブ活動で気合が入っていないという理由だけだ。学校側に弁解の余地はない。

(略)

僕が大阪のスポーツ現場から暴力指導をなくすことに本気になったのは、この自殺事件で自殺した生徒の両親と面談してからだ。完全に遅すぎた。まだ18年しか生きておらず、これからまだまだ人生が残っている生徒の命が一つ奪われて、やっと気付いたという体たらく。

本当に僕は大馬鹿野郎だった。気付くのが遅かったのは事実だし、桜宮高校の暴力指導体質を改善できていなかったことが生徒の命を奪ったことに間違いはない。この点はいくら反省しても取り返しがつくことではないが、それでもできる限りのことをやって桜宮高校を抜本的に改革することと、さらには大阪のスポーツ現場から暴力的指導を排除することに全力を挙げようと決意した。

早速市長記者会見で大阪のスポーツ現場から暴力的指導を排除する宣言をすると同時に、市役所内にそのチーム体制を作り、まずはクラブ指導者への徹底研修を始めた。元プロ野球選手の桑田真澄さんに講師をお願いし、スポーツ指導での暴力がいかに効果がないのかを講演してもらった。

僕もスポーツ指導について遅まきながら勉強し始めたが、ほんとそれまでは勉強不足だった。勉強すればするほどスポーツ指導の暴力に何の意味もないことが分かってきた。チームに悪影響を与えるメンバーは外せばいいだけ。そちらの方がよほどやる気を奮起させるには効果があるという、今考えれば当たり前のことにやっと気付いた。暴力をふるうのは指導者が勝利ファーストになっているからだという、これまた単純なことにもやっと気付いた。

(略)

相撲界は、かつての市立桜宮高校と同じような状況だ。相撲ファンを含めて関係者全員が、相撲界とはそいうものだという雰囲気に縛られてしまっている。暴行事件の事実解明は大事だが、それより大事なのは相撲界の体質・風土変更、「雰囲気変革」。それは理事長や白鵬の処分だけでは実現できない。

ポイントはいくつかある。それは外部人材の登用、特に事務方改革。そして本場所の一時停止である。(次号へつづく)(ここまで約3300字、メルマガ全文は約1万2300字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.85(12月26日配信)を一部抜粋し簡略にまとめ直したものです。もっと読みたい方は、メールマガジンで! 今号は《【待ったなし大相撲改革(1)】雰囲気を変えられるのは「桜宮高校改革」のやり方だけだ!》特集です!!

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