ハッカーにセキュリティーを破られたら……

責任逃れのような会見をすると自分が社会悪になるという洞察力がないから、社会から反発を買うような会見をしてしまう。仮に主な原因が卸業者にあったとしても、自分が被害者のような言動をしてはいけない。自社で生肉を検査し、トリミングして客に出せば事故は起こらなかったのだから。

市川海老蔵さんも「私は被害者」と言って世論の反発を受けた。正しくは次のようにコメントすべきであった。

「私はファンや歌舞伎界に対する加害者です。酒のうえでのケンカについてはケンカ両成敗ですから、私に加害者、被害者という資格はありません」

麻木久仁子さんは会見に弁護士を同席させ、「最高裁の判例では……」「私のなかでは不倫ではない」などと自己弁護して視聴者の反感を買い、悪者になってしまった。麻木さんはどう言うべきだったろうか。

「私は2人の関係が破綻していると認識していました。しかし大桃さんのツイッターの発言を見て『そうではなかったのかもしれない』とにわかに不安になりました。もしそうであれば、直接お会いしてお詫びしたい」

こう言えば視聴者は「男に騙されたのか」「大桃さんもツイッターではなく直接言えばいいのに」と思うだろう。新聞の見出しも「大桃さんに直接お詫びしたい」となり、その後の展開は違ったものになったはずである。

ソニーの個人情報流出は1億人超という規模とセンシティブな情報が含まれていたこと、ソニーに対する社会の期待値と起こった事態とのギャップという3点から見て、本来なら即座にトップが会見してこう言うべきだった。

「ソニーを信頼して皆さまの大切な情報を預けてくださったのに、皆さまの期待を裏切ってしまった罪は極めて大きいと思っています。利用者の皆さまに被害が出ないよう対策を講じ、また被害が出たら誠意をもって賠償させていただこうと考えております」

また、前述したようにソニーは利用者に対するお詫びとしてコンテンツの無料提供を行うとしたが、本来なら「金輪際ソニーは利用しない」という人に対して賠償になるような選択肢も用意すべきであった。ゲームのほかに金券の提供など複数の選択肢を用意して、顧客が選べるようにするほうがよい。