ルールを知り、それを逆手に取れ

――その状況の変化は、クリエイターにとっては良いことなんでしょうか。SNSで常に情報が出ていくと、世の中に登場したときの驚きが薄れてしまう危惧もあるのでは?

【藤原】僕は驚きを作りたいので、発表のタイミングを自分なりにコントロールしたい。外からどう見えているかわからないですけど、SNSの情報発信に積極的なブランドでも、自分が付き合っている企業はそこのコントロールをかなりやっていますね。「これを作っていることは絶対に言わないでください」みたいなことは未だにかなりありますし。

――対談の最初にもおっしゃっていたように、SNSは企業側が発信のタイミングも内容もかなりコントロールできるメディアだからこそ、ブランドとして何を、いつ、どう発信していくかしっかり考えなければならないわけですね。

【藤原】でも、世の中がこうなってきたのは面白いと思いますよ。さっきも言ったように、大きな流れがあるからこそ変わったこともできるし、そこに乗りたければ乗れるし。ファッションが全体的に元気がないよりも、どこかがすごく元気があったほうがいいと思います。

【清永】ゲームがあって、そのルールを踏まえていれば、逆手にも取れる。そういう発想をしたほうがいいですね。

藤原ヒロシ(ふじわら・ひろし)
ファッションデザイナー。1964年、三重県生まれ。fragment design主宰。80年代からDJとして活動し、ヒップホップ、クラブミュージックを中心に自らもステージに立つ傍ら、UAなど人気アーティストのプロデュースも手がける。現在、音楽プロデューサー、アーティスト、ファッションデザイナーなどさまざまな立場で独自の活動を続けている。昨年、デジタルメディアの「Ring of Colour」を立ち上げた。

清永浩文(きよなが・ひろふみ)
SOPH. CO.,LTD.代表。A.P.C.を経て1998年にSOPH.を立ち上げる。翌99年に立ち上げたフットボールラインのコンセプトブランドF.C.Real Bristolがブレイク。2002年にはブランド名をSOPH.からSOPHNET.へと改称。13年全株式と商標権をジュンに売却したが企業としてのSOPH.の体制はそのまま社長業も継続する。17年には福岡に実験的ストアKIYONAGA&CO.をオープン。
(取材・構成=小山田裕哉)
【関連記事】
なぜ人は「インスタ映え」したがるのか
SNSで思わずシェアしたくなる画像の秘密
SNS好きな人が実社会で活躍できない理由
真実も歪められてしまう「SNS」の怖さ
ネット選挙でも「インスタ映え」が重要に