「モーレツ」な働き方には持続性がない

より多くの仕事をこなして、成長を遂げたい、という前向きなモチベーションには水を差したくありません。頑張る姿勢を認めてあげながら、労働時間や成果の問題は解決したい。そのためには「君はいつまでその働き方をするつもりなの?」と声をかけてみてはどうでしょうか。

結婚や育児、介護など家庭環境に変化があれば、長結婚や育児、介護など家庭環境に変化があれば、長時間労働はできません。また部下をもつ立場になれば、上司自らが仕事をすべて片づけるわけにはいきません。仕事を振る技術を身につける必要があります。そこで「優秀な社員ほど早く登用される可能性があるのだから、この機会にリーダーとしての働き方を身につけたほうがいい」と気づきを促すのです。

現在の「働き方改革」は、政府を巻き込んだ大きな流れになっています。副業解禁やテレワークの推進など、各企業が柔軟な働き方を模索しています。効率化は歓迎です。ただし、すべての残業を「悪」と決めつける風潮には違和感があります。形式的な「定時消灯」では、社外のサービス残業はなくせません。ときには社内で徹夜をせざるをえないこともあるでしょう。問題は、長時間の残業が恒常的な場合です。そうした企業は「ブラック」の誹りを免れません。

部下の長時間労働は上司の責任。まずは「誰がどのくらい忙しいのか」を把握する。そしてオーバーワークの人には、「モーレツ」な働き方に持続性がないことを伝える。「俺の時代は」なんて、もう通じません。

▼「いつまでその働き方をするつもりなの?」と聞いてみる

常見陽平
千葉商科大学専任講師。1974年生まれ。97年一橋大学商学部卒業。リクルート勤務などを経て、2015年より現職。近著に『僕たちはガンダムのジムである』がある。
 
(構成=朽木誠一郎)
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