ファナックの平均給与は1318万円

給与水準ではその次のグループとなるのが、機械や電機、自動車などのメーカーだ。

ソニーの従業員平均給与は910万円で、トヨタ自動車や日立製作所はおよそ850万円である。順位でいえばソニー135位、トヨタ219位、日立223位だが、1000万円を割り込んでいるのは製造現場に従事する従業員を含めた平均値だからだろう。本部スタッフなどの給与水準は、国内でもトップ級である。

メーカー系で平均給与が1000万円を上回っているのは、センサや測定器のキーエンス、産業用ロボットと工作機械関連のファナック、複写機と医療機器の富士フイルムHD、蓄電池とリチウムイオン電池のGSユアサコーポレーションの4社である。

このうち21位のファナックの平均給与は1318万円。かなりの高給だが、前年比252万円の大幅ダウンである。同社は「優秀な技術者など、必要とする人材を採用、育成し、雇用の維持を図ることができるよう、処遇をより良くすべく対策をとっております」としているが、16年度の売上高や利益が減少したことで、主に賞与のカットがあったためと推定される。

給与平均の対象人員が3042人から3246人と204人ほど増員になったにもかかわらず、原価・販管費に計上されている人件費は、前年度より6.4億円少ない578億円だった。社内取締役への報酬総額も37億円から27億円と10億円の減額。経営トップの年俸は、6億9000万円から4億9900万円と、2億円近く減った。

ファナックは工作機械の頭脳に相当するNC(数値制御)装置で世界のトップを走っている。本社が富士山麓の山梨県忍野村にあるため、経営の唯一の懸念材料は「富士山の噴火」といわれている。工作機械の市況は順調で、給与の回復も早いと推定できるが、平均給与で250万円を超すダウンは、業績連動型の給与体系のひとつの側面ということだろう。

日本航空の「運航乗務員」は2086万円

業績の下降で、大手メーカーでも給与は切り下げられている。東芝(722位、710万円)は2期前の15年3月期との比較で134万円のダウン。シャープは(1183位、646万円)は82万円のダウンだった。一刻も早く業績を回復させて、給与水準を回復したいところだ。

ここでの給与は全従業員の平均となっているが、職種別に給与水準が異なる企業は少なくない。たとえば商船三井(90位、969万円)は、「陸上従業員959万円」「海上従業員992万円」と内訳を明らかにしている。

日本航空(207位、859万円)も職種別に平均給与を開示しており、「地上社員559万円」「客室乗務員539万円」「運航乗務員2086万円」である。ANAHD(281位、818万円)も内訳を開示していた時期があり、運航乗務員の平均給与はおよそ2000万円だった。日本航空やANAHDのパイロットの給与は、今回のランキングではトップ3をうかがうほどの高水準だといえる。

ランキングをみる際には、「平均年収」だけでなく「従業員数」にも注意が必要だ。イタリア料理「カプリチョーザ」やアメリカ料理「ハードロックカフェ」を運営するWDIの従業員数は1人となっている。これはWDIが持ち株会社で、店舗の従業員などは連結する事業会社に所属しているからだ。連結会社の従業員数は2396人となっている。前年は従業員数2人で平均年収は976万円だったが、今年は1人になった。年収は1010万円で、年齢は52.5歳、社歴は28年である。

WDIのような持ち株会社体制では、社名に、金融機関の場合は「フィナンシャルグループ(FG)」、それ以外では「ホールディングス(HD)」などと付いていることが多い。基本的には、持ち株会社の従業員は人数が絞られ、幹部社員が多くなるため平均給与は高めになる。