まず「人格(キャラ)」を鮮明にしたピーチは、今、「アジアのかけ橋に挑戦する」という物語の主人公になろうとしているのです。

物語の主人公になってブランド化する

ピーチは物語の主人公になることで、「ストーリーブランディング」を目指していると言えるでしょう。

「ストーリーブランディング」とは、私が2008年から提唱している企業ブランディングの手法で、現時点でシンプルに定義すると以下のようになります。

「企業が新しい『物語の主人公』になって、その価値をわかりやすく発信することでファンを生み出しブランド化していく手法」

ではどうすれば、企業が物語の主人公になれるのでしょうか?

どこかの劇場のステージの上で、企業が「物語の主人公」を演じている姿を想像してみてください。それを客席からみているのが顧客であり見込み客です(範囲を広げると消費者全般だと言うこともできます)。

さらに重要な存在が、「物語の主人公」を演じる企業で働く従業員たちです。彼らは同じステージの上にいる共演者と位置づけることができるでしょう。共演者ではありますが、彼ら従業員も、主役である企業の様子を観察しています。

『「コト消費」の嘘』(川上徹也著・KADOKAWA刊)

ステージの上で、主人公がじっとしている物語にワクワクするでしょうか? しませんよね?

物語が動き出すのは、主人公が動き出す時です。それにはまず「こんな新しい未来を作りたい」というビジョンを抱く必要があります。そしてそのビジョンを実現するために行動していくことで、初めて主人公は輝き始めるのです。

これと同じことを、企業がすれば、「物語の主人公」になることができます。

「未来のビジョンを掲げそれに向かって行動」すればいいのです。

こう書くと簡単そうですが、もちろんそれを実現するのはそう簡単ではありません。

まず「未来のビジョン」は何でもいいというわけではありません。単に儲(もう)けたいというような利己的なビジョンでは誰からも共感してもらえません。かと言って、キレイ事では嘘くさく思われますし、同業他社でも語ることができるビジョンでは心が動きません。