無責任上司、事なかれ部下、わがまま同僚……。そんな人たちに「こっそりお仕置き」をするには、どうすればいいのだろうか。「プレジデント」(2017年7月31日号)の特集「人を動かす黒い心理学」より、職場での3つの実例をご紹介しよう。第1回は「後輩を懲らしめる会心の一言」――。(全3回)
先輩が後輩に発した衝撃の一言とは
最初に紹介するのは言葉による働きかけだ。強い言葉を相手にストレートに言ってしまうとパワハラだと訴えられるケースも多い。そこで近年用いられるのが、周囲の人が見てもパワハラとは捉えられない婉曲表現を使う手法だ。
大手印刷会社に勤める市谷慶一郎さん(仮名・34歳)が目撃したのは、空いた時間があれば情報収集と称して私用SNSをする若手に先輩が放った一言だった。市谷さんはこう証言する。
「うちは社則で副業が禁止されています。夜遅くまで残っていたある日、唐突にその出来事は起きました」
時刻は21時。オフィスには市谷さんを含めて7人が残っていたという。全員がパソコンに向かい、翌日の得意先へのプレゼンに向けて必要な資料をまとめていた。
そのときだった。おもむろに立ち上がった先輩が、市谷さんの隣に座る後輩のパソコンを後ろから覗き込み、周囲に聞こえるようにこんなセリフを発したという。
「『それって、ウチの会社の仕事?』。さすがの彼も副業はしてなかったのですが、後輩は焦って『当たり前じゃないですか!』と少し怒り気味に答えていました。しかし、逆にそれがよくなかった。まるで彼がこっそり副業をしていたことがバレそうになって、焦っているという雰囲気になってしまったんです」
オフィス内に残っている人が少なかったこともあり、その後輩は周りの注目を浴びてしまうことになった。後日、上司に副業をしていないか確認の面談を受けたという。
SNSが禁止されている会社では「何投稿してるの?」や、男女関係に厳しい職場では既婚者に対し「彼女に連絡?」に質問を変えているという話も挙がった。