やらないことリストをつくっておく

「やるべきこと」を整理することと同じくらい重要なのが、「やらないこと」を明確にすることです。

1日の時間と集中力が有限である以上、歯を食いしばって努力しても達成できることには限界があります。むしろ「これはやらない」というものが多いほど、生産性の底上げが可能になります。つまり、

生産性=実行できる作業量-排除できる作業量

なのです。そのためにも、ふだんからルールとして「やらないこと」を決めておくことが重要なのです。

「やらないこと」とは、「ぼんやりとしない」「悩まない」といった曖昧なものではなく、むしろ「テレビを見ない」「関係のない会議に参加しない」といったように、時間を生み出せるものを選びます。

注意したいのは、これは「ストイックに生きよう」ということではない点です。たとえば、夜の飲み会とテレビを見ることを同時に実行できないようなときに、「自分はどちらを選ぶのか」といったように、自分の中の優先順位を立てておくことなのです。

「やらないことリスト」に入れるものの例を、以下に挙げます。

●発信者が不明の電話に応じない
●午前はメールに応じない
●無関係な会議に出席しない
●どんな席でも飲酒はしない
●ソーシャルメディアは午後になるまで見ない
●まとめサイトや、時間のムダと決めたサイトは開かない

Doingリストで作業は加速する

1枚の紙を取り出して、真ん中に1本の線を縦に入れてください。これで、作業を加速する「Doingリスト」のできあがりです。

doingリストの作り方の例(画像は本書より)

ToDoリストは書き出すだけで気持ちがラクになりますが、そこに並んでいるのは1アクションで実行可能なものばかりではありません。実際に作業をしているときには、粒度の小さいアクションを次々に実行してゆくリストを作るほうがスピードは上がります。それが「いまやっていること」だけを列挙したDoingリストです。

縦に引いた線の左側には、5~15分で実行可能な、これから実行するアクションを列挙します。すでにあるToDoリストを見つめて、そこからアクションを振り出す感覚で作るのがよいでしょう。

このリストは寄り道せずに上から順に実行します。もし途中で別のタスクが割り込んできたなら、それは線の右側に書き留めてすぐに復帰します。こうしてリストを一番下まで実行したら、右側にメモしたタスクを取り込み新しいDoingリストを作ります。

こうしてアクションを次々に撃ち出す仕組みがDoingリストなのです。

堀 正岳(ほり・まさたけ)
「Lifehacking.jp」管理人。研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。
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