内部留保は投資に回すべきなのか?

財務省が今年9月に公表した「法人企業統計」によれば、2016年度の企業の内部留保(利益剰余金)は406兆円と、過去最高を更新しました。この内部留保を、「もっと設備や人材などへの投資に回すべき」といった意見をよく耳にします。実は、このような議論は、以前から存在しています。08年のリーマン・ショックの後、トヨタ自動車で非正規雇用者の大量解雇が行われた際には、「10兆円を上回る内部留保で雇用を維持すべきだ」という声が上がりました。こうした指摘は、はたして正しいのでしょうか。

結論からいえば、内部留保が増えているからといって、企業の手元にそれだけのキャッシュがあるとはかぎりません。内部留保である利益剰余金とは、今までに稼いだ利益の合計額から、今まで払った配当の合計を引いたものです。