知っての通り、民進党は選挙前にドタバタの崩壊劇を演じることになり、候補者たちはちりぢりとなった。結果として、希望の党、立憲民主党が誕生。選挙には新たな対立の構図が生まれた。
自民党の王道を行く強さ
選挙前まで、ネット発信力で他党を圧倒していたのは自民党だ。大きな要因は、最大手代理店・電通と組んだことだ。今回選挙でも、電通が一括して請け負っている自民党の広報では、頻繁に流れているテレビCMにその「伝統」が垣間見えた。安倍晋三総裁が国民に語りかけるというオーソドックスなスタイルで、特に目新しさは無い。相変わらず安倍総裁の舌足らずなしゃべり方は気になるが、「そもそも政党CMなんて、これでいいのかもしれない」と思わせるシンプルさだ。
ネット戦略もいちいち手堅い。SNSでの発信では、カード式の案内や、応援演説の様子を編集してSNS版として流す最近増えてきたスタイルを積極的に取り入れた。フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなど、SNSそれぞれの特徴もよく捉えている。
映像編集も、ひとつひとつが凝っていてかなり高レベルの仕上がりになっている。写真のレベルも非常に高い。随時安倍総裁について回り、短時間でこれだけのレベルの仕事を仕上げるのは、やはり「プロの仕事」なのだろう。
もともと、ネットユーザーとの親和性を高めていた自民党。JNSC(自民党ネットサポーターズクラブ)など、党のネット戦略の詳細についてはここではおくが、今回の選挙では、支持者を拡大したい若者や女性層、アベノミクスの効果に懐疑的で、自民党への支持が弱いとされた中小企業に向けた演説をまとめるなど、「お手本」を見せられている感じだ。とにかく、仕事が安定している。
共産党は手作り感とストレートさが魅力
共産党は自民党に続き、高いネット発信力をもっている。以前はウイットに富んだネットCMを何本も流していた時期があった。しかし、最近はより幅広い層に伝わるように発信内容を変化させた。今回の選挙では、アニメを取り入れて、わかりやすくストレートなメッセージを真面目に伝えていた。