AIの選挙への活用は、日本ではドワンゴがAIによる「当選者予測」をやっている程度だ。ただ、政治とAIの関係については急速に議論が進んでいる。例えば、昨年行われた「選挙ってITでどう変わるの?」というイベントでは、専門家らによって、「今後、政策の立案などをAIが行うことになるのではないか」という議論が交わされた。可能性は十分にあるはずだ。
選挙から政策決定までAIが決める
AIが進化すれば、選挙コンサルタントとしての私の仕事も減ってしまうかもしれない。どこでネガティブ情報が出回っているか。ポジティブな情報発信はどのチャネルが効果的か。炎上したときに、どのような対応を取るべきか。AIであれば24時間即座に対応できる。
また、情報発信のような「空中戦」だけでなく、街頭演説などの「地上戦」も変わっていくはずだ。街頭演説のルートを自動作成し、交通渋滞や演説が長引いて予定が狂った場合に即座にルートを修正し、それをネット配信する。演説しているときの聴衆の表情から、どのキーワードに一番好感度が高かったかAIが分析し、それをもとに演説内容を修正していく。要素技術はすでにある。旧態依然とした選挙を変えていくためにも、最新テクノロジーを大胆に取り入れるべきだ。
技術が進んでも最後は人間性
これまで技術的な点を述べてきたが、立憲民主党がネット上で共感を広げたのは、何も最新技術を活用しているからではない。より「人間的」だったからだ。
ツイッターでの情報発信では、顔が見えない担当者(「中の人」と呼ばれる)の自然体な言葉遣いや、おそらく同年代に向けて難しいことを難しく伝えるのではなく、より簡単にわかりやすく伝えようとする姿勢が言葉の端々に見えた。小池百合子代表の「排除」発言など、言葉でつまずいた希望の党とは対照的だ。